「阪神７－３巨人」（３日、甲子園球場）

　慌てることはなかった。七回。阪神は大山の２点適時打で同点に追い付き、巨人先発の戸郷を引きずり降ろす。ここから巨人ベンチが阪神が送り出す代打の左右に合わせて高梨、鍵谷、大江と“マシンガン継投”を繰り出した。

　「やってくるだろうなとこちらも予想してやっている」。矢野監督が惑わされることなく、代打陣を信じた結果が中野の決勝打につながった。「もういくしかないという場面だったんでね。いろいろ考えたけど、もういってやろうと」。代打、代走攻勢の末に実った逆転劇を満足そうに振り返った。

　この日は大胆に打線を改造。中野、島田、近本の“快足トリオ”から始まり、６番までに５人の左打者を並べた。「もちろん（そのあたりも）全部考えてやっている」。左打者に対する被打率が高い戸郷対策として組んだ打線は、五回まで完全投球を食らうなど即結果には結び付かなかった。それでも最後に１番・中野の打順が好結果を呼んだ。

　「“日替わり定食”じゃないけど、何がベストかを考えて。みんなの調子が戻るまでは足を絡めてつなぐのか、一発攻勢でいくのか。ギャンブル的なところもあるけど」と井上ヘッドコーチ。この先も打線を固定せず、日々の試合に挑んでいく。