阪神・高橋、江夏以来虎投53年ぶり巨人戦14K!「ビックリしてます」プロ初完投
「阪神6-1巨人」(5日、甲子園球場)
阪神の若き左腕が宿敵に牙をむいた。高橋遥人投手(24)が5安打1失点に抑え、無四球でプロ初完投。自己最多の4勝目を挙げた。球団では1987年の猪俣隆投手以来、巨人戦では67年の江夏豊以来となる1試合14奪三振もマーク。今季、苦渋をなめさせられてきた「伝統の一戦」で、意地を見せつけた。
甲子園のスタンドに「あと1球コール」が響く中、高橋は宝刀ツーシームをストンと落とした。5点リードの九回2死、最後は坂本のバットに空を切らせた。プロ3年目。巨人戦での初完投は格別だ。自己最多14奪三振は1987年の猪俣以来33年ぶり、巨人戦に限れば67年の江夏以来53年ぶり。お立ち台では何度も目を丸くした。
「(プロ完投は)素直にめちゃくちゃうれしいです。三振の数?まあまあ取れたと思ってたんですけど、分からないです。14個?10いったか、いってないぐらいだと思っていたのでビックリしてます」
奪三振ショーの幕開けは二回だ。先頭岡本の懐を141キロ直球でズバッ!クロスファイヤーで腰を引かせて見逃し三振を奪うと、大山と本塁打キングを争う巨人の4番を完全に沈黙させた。四回は116キロカーブで空振り三振。七回は132キロツーシームで空振り三振を奪い、全3打席連続三振に斬った。
快投の要因は2つの緩急だ。1つは春季キャンプから習得を目指していた110キロ台のカーブ。今季初登板では1球投じただけだったが、この夜は感覚が良かったという。新球への挑戦が実を結び、「試合を組み立てるパターンに入ってきたというのはすごくうれしい」と手応えを得た。
もう1つは「奇跡です!」と驚きの発見があった。この夜、多投した130キロ台後半の直球は6割くらいで投げたという「脱力した真っすぐ」だ。立ち上がりから「力を入れても良くなかった。球速自体は10キロ近く変わるので。真っすぐを良く見せるための真っすぐです」と胸を張った。
バットでもマルチ安打&プロ初打点をマーク。「自分でもこんなにバッティング良かったっけなと思って。打撃の方を褒めてあげたいですね」とにっこり。“遥人節”でもファンを引きつけた。
野球に夢中になった少年時代、エースと言えば、巨人上原と阪神井川だった。伝統の一戦。今季は先発最多の5試合に投げ、2勝3敗となった。宿敵に負けっ放しでは終われない。若きエース左腕が希望の灯をともした。
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