阪神・糸原 復活弾!好守でハッスル意地のマルチ「支えてくれた方に感謝」
「阪神2-3巨人」(7日、甲子園球場)
思いはバットに込めた。浜風も味方した打球が、左翼ポール付近に飛ぶ。最後の一伸びは意地か、執念か。ギリギリでフェンスを越えた。土壇場の3号ソロは自らスタメン復帰を祝う一発。主将が帰ってきた。連敗を喫した一戦だが、阪神・糸原のバットで一矢報いた。
2点差で迎えた九回、マウンドには抑えのデラロサ。先頭で打席に立った糸原は初球、151キロの直球を迷いなく狙った。右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折から復帰。怖さを感じさせないフルスイングで、チームとしての総意を体現した。48日ぶりの3号となった。
「ケガをした時から、リハビリ中もずっと支えていただいたトレーナーの方々、携わってくれた全ての方のおかげで、グラウンドに立つことができている。感謝しています」
7月22日の広島戦、ファウルを打った際に、右手有鉤骨を骨折して途中交代した。翌23日に出場選手登録抹消。2年続いた連続試合出場も止まった。手術を経た一般的な全治は2カ月前後。だが、懸命のリハビリと、驚異の回復力でわずか38日で1軍に戻ってきた。
反撃の口火を切ったのも糸原のバットだった。3点差で迎えた七回。先頭で打席に立つと、左腕・高梨から右前打を放った。ボーアの三塁内野安打で生還。続く八回には、守備でも1死満塁のピンチで、代打・亀井の一、二塁間の打球を倒れ込みながら好捕。反転してホームに送球し、追加点を許さなかった。
攻守で光った存在感。矢野監督も「どこに入れても貢献してくれる選手」と最敬礼だ。糸原も復帰を願う声援、祝う歓声に感謝。残り試合での反撃を約束する。「チームが一つにならなければ、勝つことはできない。もう一度、一つになって戦っていきたい」。主将が逆転Vの望みをつなぐ。ファイティングポーズはまだ、崩さない。