ノムさんへ決意のタイムリー 阪神・梅野“恩師”の金言胸に一流捕手道歩む
「練習試合、日本ハム0-5阪神」(11日、タピックスタジアム名護)
阪神の梅野隆太郎捕手(28)が11日、日本ハム戦との練習試合で自身今年初となる対外試合に「8番・捕手」で出場。初打席の二回に決勝打となる中前適時打を放つなど、2安打と好スタートを切った。親交があった野村克也氏の訃報に接し「目標にしていい成績を残したい」と決意を新たにした。不動の正捕手が“恐怖の8番”として、攻守でチームの核を担う。
痛烈な打球が中前に抜けた。梅野の2020年初打席が、二回1死一、二塁の好機で巡った。1-1からの3球目、内角の144キロをファーストスイングで捉えた。決勝打を含む2安打。“恩師”である野村氏の訃報に、一流の捕手道を歩む覚悟を口にする。
梅野は厳しい表情で口を開いた。「少しした関わりだったんですけど、一度、いろんな話をさせていただいた。本当に残念です」。2017年のことだ。西岡(元阪神)を介して食事会に同席。伝えられたのは、まず「人として」のあり方だった。かみ締めるように語り始めた。
「野球人として、捕手としてどうしていくか。人としてのことを数多く言われていました。僕は配球のことも聞こうと思ったんですけど、人としてのあり方を教わった。そこが一番思い出深いです」
食事をしたのは、一度だけだった。それでも球場で顔を会わすたび「気にして見ているよ」と温かい激励をもらった。伝えられたのは責任感と使命感。教えを体現すべく、努力の日々は続く。二回の中前適時打に続き、四回には三塁ベースに当たる内野安打。近本の2点適時打を導いた。
2年連続でゴールデングラブ賞を獲得。正捕手として揺るがぬ存在になった。目指すのは野村氏のように、攻守でチームの要になる成長だ。井上打撃コーチも希望を抱く。「この状態で8番に置けたら、いい打線が組めるよな」。“恐怖の8番”が打線の厚みを増す。
「優勝チームに名捕手あり」は野村氏の格言。梅野もそんな師の背中を必死で追う。「同じキャッチャーなので目標にして。いい成績を出していきたい」。目指すのはキャリアハイの成績、そして15年ぶりのリーグ優勝だ。授かった金言の数々を胸に、弔いVに向けた歩みを進める。