今季限りでの阪神退団が決まっている鳥谷敬内野手（３８）へ、先輩、後輩、恩師らからエールが寄せられた。新天地での現役続行を目指す鳥谷の“真の姿”を知る人たちが、激励の言葉を贈る。阪神前東日本統括スカウトの菊地敏幸氏（６９）は争奪戦の末、鳥谷の獲得に成功。トラを旅立つ“努力の人”にエールを送った。

　　◇　　◇

　電話口で震えたよ。あの言葉を聞いたときには、飛び上がって喜んだっけな。「阪神で頑張りたい」。６、７球団で繰り広げた“鳥谷敬争奪戦”。どうしても来てもらいたくて、トリが大学２年の頃から早大グラウンドに通ったよ。飛び込んできてくれて、ありがとうな。

　俺は絶対にプロでも成功するって思ったんだ。リーグ戦に入ったら、周囲の雑音をシャットアウト。テレビも見ない。夜中の２時にシャワーの音がするなと思ったら、トレーニング終わりのトリがいたって。聞く話、聞く話が俺をほれさせたんだよな。特別な才能があったわけじゃない、でもトリは人一倍努力できる才能があった。

　ただしっかりしているようで、しっかりしてないんだよな（笑）。入団時に必要な書類に「ハンコがいるよ」ってあれだけ言ったのにさ。向かっている途中で電話がかかってきて、まさかと思ったら、「ハンコがありません」って。“鳥谷”なんて珍しい名字だからデパートの中、何軒も探し回ったよ。

　昨日のことのように思い出す。一緒にお酒飲んで、シメはラーメン。「俺もう食えないよ」って言ったら、「だったらもらっていいですか」って。なじみのない関西に来てくれて、ありがとう。やり残したことがあるんだろ？寂しい気持ちもあるけど、でもな。俺は最後までやり遂げてほしい。