原口 サヨナラ打!涙が止まらない!大感動甲子園 矢野も感涙

 9回、サヨナラ打を放ち、矢野監督(中央右)らから抱きしめられる原口(同左)
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 「交流戦、阪神4-3日本ハム」(9日、甲子園球場)

 虎党も指揮官も涙する劇打でファンとの約束を果たした。阪神・原口文仁捕手(27)が同点の九回2死一、三塁に代打で登場し、中前に運んで試合を決めた。大腸がんから復帰後初となる甲子園のお立ち台では「必死のグッチー!」のパフォーマンスを初披露した。チームは今季6度目のサヨナラ勝ちで本拠地での3タテを阻止。勢いを取り戻した猛虎が、鷹を狩るべく博多に乗り込む。

 原口ならやってくれる-。そう、誰もが信じていた。中前へと運ばれる白球が一瞬の静寂を生み、歓喜と熱気で球場を揺らす。右腕を力強く突き上げ、4万6622人の大観衆に届けた勝利の雄たけび。チームを救い、聖地のファンへ正真正銘の復活を告げる感動のサヨナラ打。勝負強い男が本領を発揮した。

 「同点に追い付いた時点で、サヨナラの場面をイメージして。最高の舞台を演出してもらった。ベンチで声を出している先輩もいる中で、準備させてもらって。いい準備ができて、いつもと変わらず、打席の中で集中できた」

 無我夢中だった。同点の九回2死二、三塁。秋吉が投じたカウント1-1からの3球目、外角寄り低めの127キロスライダーを無心で振り抜いた。勝利への執念を乗せた打球は、ファンの願いにも押されて外野の芝生に弾んだ。

 17年6月15日の西武戦(甲子園)以来、2年ぶり4度目となるサヨナラ打。矢野監督は、ベンチから一目散に飛び出すと、劇的勝利へと導いた殊勲者を力強く抱擁した。

 試合終了後から球場全体に響き渡る“原口コール”の中、上がったお立ち台。「1軍でやりたいことがある」と練習を再開した頃からこの景色を目標とし、ファンと約束した場所。感涙にむせぶ者もいる黄色く染まったスタンドを見渡しながら、虎党と一緒に選んだ必勝フレーズ「必死のグッチー!」と声を張り上げた。

 前例のない大腸がんからの復帰劇。正捕手奪取を誓い、鍛錬の日々を送ったオフは過去にないほどの手応えをつかんでいた。だが、手術の影響は大きかった。本来の感覚が戻ってきたのは1軍昇格の直前。不安だらけだったが、頭に浮かんだのは矢野監督が掲げる野球を体現すること。大病から復帰した今も、楽しむことを常に意識している。だからこそ、この日も原口の目に涙はなかった。

 「人生一回だし。暗い顔をして生活して、野球するより、何とか楽しい方向にね。生きているだけで、すごいこと」

 まだまだシーズン半ば。原口の仕事はここからだ。勇気とともに感動を、目の前の困難と闘う人にたくましい背番号「94」のバットが届け続ける。

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