さすが主将打!福留、先制弾&犠飛 今季4本中3本が本拠地弾
「交流戦、阪神3-2ロッテ」(9日、甲子園球場)
歓喜の瞬間が待っていた。4時間15分にも及ぶ死闘。思いもよらないその結末に、真っ先に表情を緩めたのは阪神・福留だった。確かに刻んだ2打点。追いつかれてもなお、最後までグラウンドに立ち続け、守り抜いた。
先制点は甲子園に愛された男のバットから生まれた。初回、2死走者なしの場面。カウント2-2からの6球目、130キロのフォークを鋭いスイングで捉えると打球の勢いは最後まで衰えなかった。
「まずは塁に出ようとコンパクトに振りにいきましたが、風に助けられました」。導かれるように、打球は右中間スタンドへ。5月17日のDeNA戦以来となる4号ソロ。これまでの4本中3本が本拠地弾だ。この日の前半は本塁から中堅方向へ吹いた聖地の風&虎党の声が、ベテランを勢いづかせた。
四回には二塁打を放ち、一振りでチャンスメーク。得点には結びつかなかったが、4試合ぶりのマルチ安打を記録した。さらには六回。1死三塁の場面で、今度は直球を中堅後方へと運んだ。犠飛で貴重な追加点をもたらした。
周囲に厳しくもあり、優しくもあった。5月のナゴヤドーム。試合前練習のティー打撃中に上がった打球が、バックネットにかぶりつくように目を輝かせていた少年をかすめた。「大丈夫か?(ネットから)手を出したらダメだよ」。夢を与える場所、それが球場だ。そこでケガでもしてしまったら…。思わず強い口調になる。
それだけで終わらないのが福留流。うつむく少年の元へ、すぐさまバッティンググローブが届けられた。初めてだったというバックネット裏の席、そして思いがけないプレゼント。少年も「一生の宝物になった」と握りしめた。
猛虎を率いる主将は厳しくもあり、優しさも兼ね備える。投打にベテランが引っ張ったこの試合は、勝利へとつながった。サヨナラだ、さあ歓喜の輪の中へ。福留の笑顔がはじけていた。
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