ロサリオ、来日1号 不安一蹴!苦手スライダーを左翼席上段へ
「巨人3-2阪神」(1日、東京ドーム)
今年の虎の4番は本物だ。阪神のウィリン・ロサリオ内野手(29)が開幕3試合目で待望の来日初アーチを放った。1-0の四回、西武から巨人に移籍した野上のスライダーを捉え、左翼席上段への1号ソロ。さらにこの一打で球団の外国人史上2人目となる開幕3試合連続打点もマーク。勝利で飾ることはできなかったが、この男がいれば悲願の2文字も見えてくる。
勝ちきれなかった悔しさが、胸の中に充満していた。会心の来日初アーチにも、ロサリオは厳しい表情を崩さなかった。「打ったことはよかったけど、チームが勝てなかったことが悔しい」-。優勝させるために日本に来たと言い切る助っ人だからこそ、その背中から喜びよりも悔しさがにじみ出る。
待ちに待った瞬間は1点リードの四回だった。先頭で迎えた第2打席、カウント2-1から野上が投じたスライダーを完璧に捉えきった。両手に残った手応えを確信したのか、ロサリオは横向きで跳びはねながら打球の行方を追った。
左翼席上段に飛び込むと、拳を握りしめて力強くダイヤモンドを回った背番号20。開幕前に苦手とされていた右投手のスライダーを完璧に仕留めた。すべての不安を一蹴する3試合連続打点、そして六回に放った中堅左への二塁打で来日初のマルチ安打もマーク。金本監督は「全部いい当たりをしてた」と目を細める。
きっかけは試合前の打撃練習にあった。ケージに入る際、ロサリオが手にする約900グラムのバットには、およそ500グラムの金属製リングが装着されていた。他の選手がティー打撃や素振りで用いる重りだが、フリー打撃では決して使わない。1・5キロに近い超重量バットを使えば、腰など自らの体を痛める危険性すらある。
そんな“金棒”をブンブン振り回し、平然と打撃投手のボールを打ち返していたロサリオ。「スイングの軌道を確認するために。たまにやる練習だから、そんなに深い意味はないけど」と事もなげに言うが、強じんな体幹を持つ助っ人にしかできない練習法だ。
リングを外して以降は、明らかにスイングのキレが上がった。面白いように打球が飛んだ。そしてゲームでも-。色んな練習法を試し、現状に満足せず上を目指す男だからこそ「やっていることが、いい感じになってきている」と自信をみなぎらせる。
確かな真価を発揮した開幕3連戦。「まだ始まったばかりだから」と言いつつも、主砲不在が敗因となった昨季と比べれば…。とてつもなく頼もしい4番が、ここにいる。
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