メッセンジャーがエースの称号にふさわしい理由

 14日・CSファーストS第1戦の五回、阪神が無死一塁からDeNA・梶谷の二盗を阻止したシーンをクローズアップする。スタートを切られるまでに要した6球の中で、けん制球、チェンジオブペースなどさまざまな技術を駆使したランディ・メッセンジャー投手(36)。捕手・梅野、そしてベンチとも連携しながら梶谷のスタートを完ぺきに遅らせ、見事三振併殺で中盤のピンチを切り抜けた。

 明らかに流れを変えたビッグプレーは、メッセンジャーが1球ごとに植え付けていった“伏線”から生まれた。俊足の梶谷に右前打を許し、この試合、初めて先頭打者を出した五回無死一塁の場面。打席には7番・嶺井が入った。次打者が投手・井納だったことから、高い確率でスタートを切ってくるとバッテリーは踏んだ。

 メッセンジャー「もちろん足が速いランナーだったし、けん制、クイック、基本的なところをやった。ピッチャーとしてやるべきことをね」

 1球目を投じる前にまずけん制を入れた。そしてカウント不利にならないように、初球、外角カットボールでカウントを奪う。そこからより神経を梶谷の方に向けた。

 2球目はセットから15秒ルールいっぱいまでボールを長く持った。続く3球目は2度、けん制を入れて、クイックで変化球を投じ空振りを奪った。嶺井を追い込むと、以降は常に1秒前後のクイック投法に変更。それに呼応するよう、梅野もスローイング態勢を取るなど梶谷にプレッシャーをかけ続けた。

 ベンチもウエストを挟むよう指示するなど、あらゆる伏線を張った上で迎えた7球目。梶谷のスタートは明らかに遅れた。梅野のスローイングはやや三塁側へそれたが、余裕のタイミングでアウト。「ストライク送球だったらだいぶ前でアウトになってたね」と助っ人右腕が納得の表情を浮かべたほど、計算ずくの盗塁阻止だった。

 ただボールを投げるだけでなく、けん制、クイック、フィールディングなど投球以外の部分の技術も追い求めてきたメッセンジャー。今季、巨人・マイコラスの投手盗塁阻止率が・143と低調なように、外国人投手は走られやすい、クイックができないというイメージが強い。

 一方、メッセンジャーがマークした阻止率・571は、日本を代表するエース・菅野とまったく同じ数字。リーグの中でもトップレベルの盗塁阻止率を誇っている。

 メッセンジャー「先発投手はただ投げるだけではダメ。投げる以外のことも高い技術を目指さないといけない。だからいい投手になるということは難しい。もしそういう部分が不得意なら、ストッパーくらいでしか活躍する場がないから」

 来日8年目、ベテランの域に達しても先発ローテの大黒柱として君臨している右腕。それはただ投げるボールが優れているからだけではない。すべての面で秀でている投手だからこそ、エースの称号がふさわしい。

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