原口、神打ァ~ 八回9人攻撃イッキ3点!金本監督も手応え

 「ヤクルト1-3阪神」(12日、長野オリンピックスタジアム)

 土俵際でうっちゃった。痛快な逆転勝利。打者9人の猛攻で一挙3点を奪った八回のドラマ。代打の阪神・原口文仁捕手(24)が9球粘って放った執念の同点打が、逆転劇の扉をこじ開けた。負ければ16年ぶりの前半戦最下位ターンが決定する一戦を制した。前半戦最終戦も勝って、最下位脱出や-。

 逆転の絶好機に「代打・原口」がコールされた。0-1の八回1死一、二塁。大歓声に背中を押され、背番号94が戦いへと向かう。対峙(たいじ)するのは2番手・平井だ。140キロ台後半の直球をファウルで交わし続け、9球目。ど真ん中の144キロを捉えると、打球は中前で弾んだ。

 「最後は真っすぐ一本に絞って、狙っていきました。あまり深く考えず、しっかり自分のスイングをしようと思っていました」

 二走・西岡が激走して同点のホームへ生還。24イニングぶりの得点で勢いづくと福留が左前打で続き、ゴメスの二ゴロで勝ち越し。さらに、高山が左前適時打で追い打ちをかけた。6月17日・ソフトバンク戦以来の逆転勝利。金本監督は、称賛を惜しまなかった。

 「あと一本、チャンスで打てないという重い扉を原口がこじ開けてくれた。あれだけ粘って安打を打てるのはさすが。俺(の現役時代)なら粘って四球だけど(笑)。あそこで安打を打てるところが彼の素晴らしさ」

 8日からの広島3連戦は全て途中出場で、7打数0安打。「代打で割り切りができていなかったです」と打席の中で迷いが生じた。3日・中日戦以来、7試合スタメンから遠ざかる中で、負のイメージは募っていく。

 5月に月間MVPを獲得し、意気揚々と臨んだ交流戦。原口は、送球面など捕手としての課題を突きつけられた。盗塁を許し、試合も勝ちに導くことができない。悩む時間が増え、寝る前まで野球のことばかりを考えていたという。そんな夜に、奇跡が起こった。

 「夢の中に長嶋さん(巨人・終身名誉監督)と、王さん(ソフトバンク・球団会長)が出てきたんです」

 長嶋氏からは、熱烈な打撃指導を受けた。「もっと腰を入れて!」。ミスターの手ほどきを全身で感じ、「次の日は阿部さん(巨人)ですよ。本当にびっくり」。プロを目指すきっかけをつくってくれたGの背番号10に、勇気をもらった。「もう一度、2軍でやってたクイック送球をやります」。野球に没頭できている今に、感謝しようと心に誓った。

 最下位に沈むチームは、浮上のきっかけを探している。この日の逆転勝ちが、それになるかもしれない。金本監督は「またいつもの通りかな…と悪い予感もしたけど。先発が1点に抑えて終盤に逆転して、リリーフがしっかり抑えてという。終わってみれば強いチームの勝ち方ができたかな」と手応えを感じた。長野の夜、久々に六甲おろしの大合唱が響いた。

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