福留、猛打賞!鷹狩りのサヨナラ打
「交流戦、阪神3-2ソフトバンク」(17日、甲子園球場)
カウントダウンを進める劇打で難敵を打ち破った。2-2で迎えた九回2死二塁、福留孝介外野手(39)が左前にサヨナラ打。パ・リーグ首位を独走するソフトバンクを土壇場で振り切った。39歳のベテランは3安打の固め打ちで、日米通算2000安打まであと5本。交流戦残り3試合での達成をしっかりと視界に捉えた。
二塁ベースに到達していた福留が、グッと両拳を握る。ペットボトルを手にチームメートが駆け寄ってくる。歓喜のウオーターシャワーでずぶぬれのヒーローは、そのまま手荒い祝福に身を任せた。
「バットに当てて、前に飛ばせば何かあると思った。速い球とか変化球とか考えず、とにかくコンパクトに振ろうと思っていた」
一打サヨナラのチャンス。福留は極限まで集中力を高めていた。2-2の九回、2死二塁。フルカウントから守護神の外角フォークにバットを伸ばすと、打球はしぶとく三遊間を割る。自身今季初のサヨナラ打で、熱戦に終止符を打った。
しかし簡単に勝負は決しなかった。直後、リプレー検証によって約4分間、判定は持ち越された。球場が緊張感に包まれる中、「俊介がタッチされていないと言っていたから」と泰然自若。ファンの大歓声で、お立ち台へと招かれた。
「読みというか、集中力というか、とにかく集中力。球際の打席でのね。最後の当たる瞬間までボールに対する集中力とか。絶対三振しないという、そういうのは若手に身につけてほしい」
これぞ主軸の仕事。サヨナラ勝ちに破顔した金本監督は改めてベテランへ最敬礼した。
節目の大記録へ、カウントダウンがペースアップしてきた。2点ビハインドの六回は中前打で反攻のホームを踏むと、七回1死一塁では右前へ引っ張り、チャンスを拡大した。3安打固め打ち。球場のファンが掲げる「フクドメーター」に1995が刻まれた。
「ちょっとずつ減らしていって、ファンと一緒に喜びを分かち合えたらいいね。その中で達成できたらいいんじゃないかな」
ただ普段はいつもと変わらず、自然体だ。この日の試合前練習では外野守備の後、珍しく遊撃に入った。プロ入団当時のポジションに入ると、懐かしい景色が広がる。内野用のグラブでノックを受けると、外野からの中継プレーにまで入って、心地いい汗を流した。
「ピッチャーが外野を守ったりしていたから、邪魔にならないように。それだけだよ。グラブは遊び用。当たり前やないか!」
頼もしいベテランの働きで、パ・リーグ首位のソフトバンクに先勝。福留は「相手はすごいチーム。ピッチャーも頑張っていたし何とかしたいと思っていた」とチーム一丸を強調した。キャンプの食事会場ではビール瓶を手に投手陣のテーブルまで足を運ぶ男だ。福留のサヨナラ打が再び、チームの結束を強くした。
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