横山プロ初勝利 ケガ乗り越えつかんだ
「中日0-9阪神」(4日、ナゴヤドーム)
頼もしい若手左腕の誕生だ。阪神の2年目・横山雄哉投手(22)が今季初登板初先発で、7回3安打無失点の好投。打線も大量援護し、プロ5試合目の登板にして初勝利を挙げた。14年度ドラフト1位の快投で、チームは昨年から続くナゴヤドームでの連敗を6で止めた。
ついに勝った。横山が今季初先発で7回無失点に抑え、プロ初勝利。「長かったですけど、今はすごくホッとしています」。鬼門も関係ない。チームのナゴヤドームでの連敗を6で止め、安どの表情を浮かべた。
中日打線に三塁すら踏ませなかった。直球は最速143キロながら、変化球で凡打の山を築いた。四回、主砲ビシエドから空振り三振を奪うなど6奪三振。7回を散発3安打に抑え込んだ。
「緊張はしましたけど、何とか抑えることができて良かった。変化球でストライクを取れましたし、それが良かったかな」
先発は昨季6月13日・オリックス戦(京セラ)以来。同戦では3回0/3を3安打5失点だった。以後、2軍暮らしが続いていたが、今季ウエスタン5試合で1勝0敗、防御率3・38と結果を残し、不調の岩田に代わって抜てき。負ければ借金生活に突入するところを阻止した。
1軍通算5試合目でつかんだ初白星。その野球人生にはケガがついて回っていた。山形中央高時代にあばら骨を折った。プロ入り後も左胸鎖関節の炎症で、新人合同自主トレから別メニュー。秋季キャンプ中には右足第五中足骨骨折でメスを入れた。即戦力と期待されながら応えられず、口を閉ざしたままの日もあった。
「やってしまったことは仕方ない。前だけを見て頑張るわ」。手術を決断した昨年11月、横山は家族に告げた。悲愴感は漂わせず、明るく振る舞った。
練習メニューが制限される中、バイクこぎや患部のストレッチで状態を整え、ケガから1カ月でキャッチボールを解禁。両親が訪れた2月12日の安芸キャンプでは、投球練習を再開した。
母には吉兆の予感があった。ドラフト指名を受けた14年、横山は銀の竜をつかんで戯れる初夢を見たという。試合前のオーロラビジョンには、偶然にも銀の竜が登場。母・昌子さんは「今日はやれると思いました」と初勝利を確信していた。
一足早く「母の日」のプレゼントをもたらした孝行息子。「今日の試合で満足することなく、次もしっかり抑えられるように頑張りたいと思います」と、その目は早くも次戦を見据えていた。