「広島２－０阪神」（２７日、マツダ）

　阪神・伊藤隼の「マエケンキラー」ぶりはホンモノだった。昨季、前田を７打数５安打とお得意さまにした男が期待通り、本領を発揮した。三回の第１打席で初球のカーブを捉え右前に運ぶと、五回の第２打席では宝刀スライダーをたたき、一、二塁間を突破。いずれも得点には結びつかなかったが、これでもかと前田に嫌なイメージを植え付けた。

　「試合に臨むうえでしっかり準備はしていました。たまたま結果は出たけれど、結果うんぬんではなく、そういうことをこれからも続けていかなくてはいけない。やはり、きょうは３、４打席目です。そういう場面で打つことを期待されていると思うので、悔しい」

　七回は２死一塁から前田のチェンジアップを捉え損ね、三ゴロ。ゴメス、マートンの連打で中崎を攻めた九回２死一、三塁の好機では二ゴロに倒れ、ゲームセット。６月３日以来のスタメンで存在感を示したが、走者を置いた局面で凡退した打席を悔やんだ。

　「今後も対戦があるのでそれはあまり言えません」。試合後、対前田のアプローチを問われると、そう言って口を閉ざし「これと決めて打席に立つようにしたい」と今後の対戦を見据えた。

　この日のマルチ安打で対前田は通算１５打数７安打、打率・４６７を誇る。広島との残り９試合で前田とは３試合マッチアップする可能性が高く、Ｖ戦線を戦うなかで伊藤隼が鍵を握ることは確かだ。