藤浪「ウル虎気持ちいい」152球完封

 「阪神3-0DeNA」(24日、甲子園)

 真夏の暑さもぶっ飛ぶ快勝や!その立役者は阪神の若きエース、藤浪晋太郎投手(21)。再三のピンチをしのぎ、ラスト九回も1死一、二塁と一発同点の場面を背負ったが、気合で後続を抑え、吠えた。自身最多の152球の熱投を演じ、今季2度目の完封で8勝目をマーク。チームも首位を堅守し、7月6日以来の貯金となった。

 猛虎のエースの称号に手を掛けた。3-0の九回2死一、二塁。プロ入り最多152球目も直球だ。152キロで押し込むと、藤浪は右手でグラブをはたいた。無尽蔵のスタミナで達成した気迫の完封勝利。さらに疲れ知らずの右腕はお立ち台でも独り舞台。スタンドに向かい、絶叫した。

 「ウル虎気持ちいい!」

 八回を投げ終えて球数133球。九回も続投すれば150球超えは確実な状況だが、首脳陣から意思確認はない。もちろん藤浪自身、マウンドを譲る気などさらさらなかった。

 「聞かれたとしても(九回も)行くとしか言わないです。信用して送り出してもらったことは良かったです」

 最速157キロの直球を中心に、120キロ台のカーブで惑わせた。「大坂夏の陣」と意気込んだDeNAを5安打。12奪三振のうち直球で11個の三振を奪った。自らの失策で招いた三回1死二、三塁では、石川の意表を突くスクイズに対し、154キロの直球でファウルにさせ、最後は154キロで空振り三振。2死後、梶谷をカットボールで二ゴロに打ち取り、ミスを取り返した。

 プロ入りしてから、背番号14の背中を追いかけてきた。本人がいくら首を振っても、藤浪にとって「エース」は能見だった。打者3巡目の壁にはね返された昨季。左腕の投球術にくぎ付けになった。

 「自分はバッターの目が慣れたときに抑える技術がない。能見さんは狙ったコースに、しっかり投げられる」

 試合終盤に軸となるボールを変える技術。勝負どころで狂いなくコースに決める制球。すべてが手本だった。「キャッチャーのミットを最後まで見た方がコントロールは良くなるのか。自分も能見さんも目を離すので」。グラウンドのこうした日常が藤浪の探求心をくすぐり、右肩上がりの成長を支えてきた。

 「課題はいっぱいあるけど、フィールディングとかね。でもまともになってきたかな。もともと持っているものが違う。これぐらいやってもらわないと」

 そう話す能見がエース返上を公言した今季、藤浪は一皮むけた。シーズン2完封は球団日本投手では13年能見以来、日本右腕では福原以来。「イニングを投げたいとずっと言ってきて結果として示すことができて良かったです」。猛虎のエース襲名へ、立ち止まらず、階段を上っていく。

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