江夏氏要請快諾!藤浪にエース道授ける

 阪神のOB会総会が29日、大阪市内で開催され、江夏豊氏(66)が現役引退後、初めて出席。楽天・星野仙一SA(67)、田淵幸一氏(67)らと旧交を温めた。席上、江夏氏はかねて球団側から熱望されていた来春、宜野座キャンプの臨時投手コーチ要請を快諾。注目選手に藤浪の名を挙げた。来季3年目を迎える右腕に最多勝獲得を願い、エース道を授けるつもりだ。

 江夏氏は引退後初めて出席した阪神OB会総会の席上で、球団側からの来春キャンプの臨時投手コーチ要請を快諾した。

 「そういう流れだから。流れに逆らうわけにはいかないよ」

 球団創設80周年を迎える来季。この大きな節目に球団は伝説の左腕を指導者に迎えるプランを温め、「臨時」という肩書ではあるが、投手王国の再建を託すことになった。

 OB会が閉会すると、江夏氏は穏やかな表情で取材陣に応えた。

 「しょせん、自分は野球人だから。グラウンドに出て、ピッチャーが投げてキャッチャーミットに吸い込まれる音を聞けば、血がみなぎってくる」

 これまで報道で江夏氏の招へいプランを知った現役投手は次々に入門を願い出ていた。エース能見は「真っすぐについて聞いてみたい」と直球の極意を学ぶ意向を明かし、ルーキー横山は「日本を代表する大投手。自分に足りないところを聞いてみたい」と声を弾ませた。

 指導期間は来年2月1日から7日まで。わずかな時間ではあるが宜野座のブルペンが独特の緊張感に包まれることになる。「江夏の目」は公平に注がれるが、やはり注目は藤浪への金言だろう。

 「彼はタイガースだけじゃなく、リーグの、日本球界の宝。もっと大きく育ってもらいたい。今年は11勝?もう少し勝っておけば最多勝を取れたんだよな。来年はタイトルを取れるような投手に育ってほしい」

 3年目へ向かうプラチナ右腕の成長に尽力したい思いがあふれ出た。会の途中、中西投手コーチから頭を下げられると、「オレが邪魔だったら遠慮なく言え」と真顔で言った。現場に気を使わせぬよう、配慮も忘れない。

 「大事な節目に少しでもお手伝いできれば言うことはない」

 沖縄の青空にレジェンドの声が響く。江夏氏の「作品」が、虎の財産になる。

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