ゴメス“タイ”したもん弾!初回ドカン
「セCSファイナルS第1戦、巨人1-4阪神」(15日、東京ド)
阪神のマウロ・ゴメス内野手(30)が初回にCS初となる一発を左翼スタンドへ運ぶと、三回には貴重な追加点となる右前適時打で勝利に貢献した。阪神外国人のポストシーズンゲームでの3打点は1985年、日本シリーズのバース以来。シーズンの打点王が大事な一戦でも勝負強さを発揮した。
驚くほどの静寂が東京ドームを包んだ。まるで目の前で起こったことが信じられないかのように-。左翼席に飛び込んだ白球、自らの力を誇示するかのように悠然とダイヤモンドを回っていたゴメス。4番の先制パンチが王者に与えたインパクトは、絶大だった。
初回、鳥谷の中越え適時二塁打で1点を先制し、なおも1死二塁の場面。「打てる球を積極的に行こう」とカウント1-1からの3球目、内海の宝刀・チェンジアップにやや泳がされたが、しっかりと軸足に体重を残して振り抜いた。
痛烈な打球は失速することなく弾丸ライナーで左翼席最前列に着弾。ポストシーズン1号2ランは貴重な追加点となっただけでない。内海の勝負球を仕留めた事実が、打線に勢いを生みだした。
三回無死一、二塁の第2打席では、初球の外角シュートを右前へ運ぶ技ありの適時打。Gが誇る左のエースから4点を奪い、今後の戦いへ恐怖心を植え付けたのは間違いない。「シーズンと同じようにセンター方向を意識して。外角ならしっかり逆方向へ打ち返す」と納得の表情を浮かべた。半年前、誰もがこの助っ人に疑心と不安を抱いていた。
3月28日、始まりの場所だった東京ドーム。来日が遅れ、右膝の故障も重なり調整は不十分だった。それでも4番として結果を残し、主軸の座を守り続けることで周囲の目は変わっていった。
シーズン終盤、蓄積疲労が溜まる古傷にアイシングを施して帰路につくのが日課になった。「ダイジョーブ!」と笑いながらも、右膝をかばうしぐさを見せた時もあった。打てなければ誰よりもベンチで悔しがり、結果と真摯に向き合う。「あんないい奴はいない」。そうチーム関係者が口をそろえるほど、助っ人の存在は欠かせないものへと変わった。
大一番で見せつけた4番の真価。和田監督は「(内海と)数多くは対戦してないけど、しっかりとタメてスイングできた」と称賛を惜しまない。「明日も同じように全力を尽くして、勝つだけ」。そう力を込めたゴメスに疑いの目を向ける人はもう、誰もいない。
