金田、谷間救う初先発初星で虎4連勝

 「阪神5-4中日」(21日、京セラ)

 阪神が4連勝で貯金を今季最多の10とした。先発の2年目・金田和之投手(23)が、プロ初先発で、初回に2点を失ったものの、二回から五回まで無失点の好投。先発初勝利で、今季4勝目を挙げた。巨人が勝って首位奪取はならなかったが、金田の活躍は頼もしい限りだ。

 ぼくとつな若虎から最高の笑みがこぼれた。右翼・福留がボールを捕った瞬間、ベンチでようやく緊張の糸をほどいた金田。先発投手が足りない状況で成し遂げた大仕事、5回2失点の好投‐。入団時の故障を乗り越え、地道に階段を上ってきた男が、チーム4連勝、そして今季初の貯金10を引き寄せた。

 プロで初めて踏む真っさらなマウンド。試練はいきなり訪れた。先頭の大島に遊撃内野安打を打たれ、梅野の盗塁阻止があっても「緊張していた」と体は言うことを聞かなかった。

 荒木に左翼線二塁打を浴び、ルナには浮いたフォークを左翼席へたたき込まれた。いきなり背負った2点のビハインド。並の投手ならここで崩れてもおかしくなかったが…。「本塁打を打たれて緊張がとれた」と常人では考えられない鉄のメンタルが、金田の体を快投へと導いていく。

 直球が走りだし、ゾーンが広かった外角を目いっぱい活用した。梅野のアドバイスでテンポを速めると、腕も振れだした。四回2死一、二塁のピンチもエルナンデスを左飛にねじ伏せ、堂々の5回2失点。打たれても決して表情を崩さない姿に和田監督は「本当にいい仕事をしてくれた」と称賛を惜しまない。

 鉄仮面‐。それこそが金田をプロへ導いた最大の“素質”だった。アマ時代、担当した山本スカウトは「テンポが良かった。打たれても何をしても自分のペースを崩さなかった」と言う。

 ドラフトを控える大阪学院大4年時に右肩を故障した。普通なら指名を見送られてもおかしくない状況だった。だがタフな心を持つ右腕なら‐。昨年の合同自主トレで藤浪が注目を集める中、金田は黙々とリハビリに時間を割いた。「先発で勝てるような投手に」。地道に目標へ向かって歩き続けた末、手にした先発での初勝利に「何というか…うれしいです」と喜びをかみしめる。

 次回の起用法について「うれしい悩み」と和田監督は明言を避けた。先発でも中継ぎでも貴重な存在。ペナント最終盤にそんなシンデレラボーイが誕生した事実は、間違いなく1勝以上の価値がある。

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