ツヨシいないと虎弱し…今季初完封負け
「阪神0-10中日」(1日、京セラ)
敗北が戦力図にあいた穴を大きく映し出す。その後ろ姿が風を呼び、無形の勢いを導く存在。西岡不在の猛虎打線がキバを折られた。キーマンを失ったタテジマが、ホーム開幕戦で喫した今季初の完封負け。阪神に暗い影が色濃く伸びた。
大差がついても戦場に響いた大声援。悲痛な叫びと必死の願いは、最後まで拍手に変わることはなかった。わずか3安打。三塁までもが遠かった。和田監督が策を打つ場面は皆無に等しかった。
「打線の状態は決して悪くなかったんだけどね」。宿敵・巨人との開幕カードには負け越したものの、指揮官は打線に手応えを感じていた。打線は水物‐。古くから伝わる言葉が、ズシリと胸に渦巻いた。
点はつなげて初めて線になる。悔恨のシーンを挙げるならば、藤浪が2点を失った直後の六回、1死二塁。西岡の代役指名を受けた上本が、初球の133キロシュートを遊ゴロとした場面。走者を進めることすらできず、続く大和も三振に倒れたことで、反撃ムードはしぼんだ。
「初球を打って悪いことはないんだけど、狙い球を打っている感じはなかったな」。積極果敢な姿勢は、仮に凡打に終わったとしても、非難の対象にはしない。先頭の初回、1ボールから外角に大きく外れるスライダーをハーフスイングした場面もそう。狙いに反した球に手を出した裏側。気持ちだけ前のめりになり、体を縛られた感覚はなかったか。そこが大きな問題だ。
ただ、ろっ骨骨折まで判明した西岡の長期離脱は避けられない。「ツヨシがこういう状態だから、上本がやるしかない。粘り強くやっていくし、上本も自覚を持ってやらんと」。虎将は選手会長のさらなる奮起を促した。泣いてばかりいられない。張られたら、張り返せ。それも、この世界の流儀だ。
