ドラ1岩貞“ぬりかべ宣言”全部止める
阪神のドラフト1位・岩貞祐太投手(22)=横浜商大=が12日、鳴尾浜で行われた新人合同自主トレで高い守備力の一端を見せた。ペッパーで至近距離から梅野が放った打球に対し、柔らかいハンドリングを披露し、視察した黒田正宏ヘッドコーチは目を細めた。投球だけでなく、フィールディングに関しても不安はなさそうだ。
どんな打球にも動じることはなかった。キャッチボール後に行われたペッパー。岩貞は梅野の強烈な打球に対して常に低い姿勢を保ち、難なく打球をさばいてみせた。見守った黒田ヘッドコーチは「ハンドリングがうまい」と絶賛する。
単純な練習の中でのぞかせた高い守備力。即戦力左腕の意識を高めたのは恩師の言葉だった。「大学時代に9人目の野手だぞ、ということを言われ続けてきました」。母校・横浜商大の佐々木監督から口酸っぱく教えられてきた格言。それはプロで勝つための大切な要素だ。
投手にとって、マウンド近辺の強い打球を1球でも多く処理できるかどうかは、勝敗に大きく関わってくる。抜ければ確実に中前へ抜けていくが、走者を置いた場面で止めれば併殺に結びつく。ピンチを脱するターニングポイントになるだけでなく、次の攻撃に“勢い”という相乗効果も生む。
黒田ヘッドは「ゲッツーを取れるからな。そういう(細かいことができる)部分でも楽しみ」と目尻を下げた。大学時代も「自分の周りに来た打球は落として(止めて)いました」と明かした岩貞。「プロの人はみんなできていることだと思う。低い姿勢のまま、投げ終わりで伸び上がらないように。周りに来た打球は全部、落としたい」とプロでも“ぬりかべ宣言”を掲げる。
9日から始まった新人合同自主トレは第1クールが終了。「ちょっと投げておきたかったので」と全メニュー終了後には自主的に遠投を行い、休日を前に左肩を追い込んだ。
ブルペン入りの日程は固まってないが、即戦力の期待通りの守備力を披露した岩貞。投げるだけではない。ドラ1左腕は勝つために必要な要素を兼ね備えている。
