１７日に名古屋市内のホテルで中日からＦＡ宣言した中田賢一投手（３１）との初交渉に臨む阪神は１６日、ソフトバンクが前日１５日の交渉で提示した４年５億円強（推定）の条件とほぼ同等の大型契約を提示する方針を固めた。ＦＡ戦線での“恋人”を中田賢に絞ったタテジマが、争奪戦から撤退した鶴岡マネー投入で、他球団に負けない誠意を示す。

　北九州市出身の中田賢。地の利はソフトバンクにある。しかし、それは関西に拠点を置く阪神には、どうすることもできないポイント。ならば誠意と熱意で通算６１勝右腕の心をつかむしかない。フロント勢が提示条件を再考した。

　球団は当初、４年４億円を基本線に交渉のテーブルに着く方針だった。だが、日本ハムからＦＡ宣言した鶴岡獲りからの撤退を決めたことで資金面に余裕が生まれた。前日１５日に編成会議を開き、ソフトバンクと同等の４年５億円強の大型契約を提示する方針を確認した。

　１７日に名古屋市内のホテルで行われる初交渉。阪神は条件、現役引退後の身分保障、中田賢の関西での住環境だけでなく、北九州市内でひとりで暮らす母・涼子さんの身の回りのケアなども含めた真心プランを提示する。

　６年前に父・治英さんが他界して以降、親思いの中田賢は以前よりさらに、母の暮らしぶりを気に掛けるようになった。

　「中田選手は独身ですし、彼に代わって我々にできることが少しでもあると思いますので。そういった面の話もさせていただければと思ってます」と球団関係者。万全のサポート態勢を敷いて、野球に集中できる環境を整える。

　背番号も恋人の希望をかなえる。球団側は中田賢に近い関係者から、１８番を望んでいるという情報を入手し、すでに調整を済ませた。中田賢がこだわりを持つ先発確約手形と合わせて、言葉に乗せる予定だ。

　「相手が強力なのでね。それを踏まえて気合を入れていかないといけない。根気強く進めていこうと思ってます。最大限の誠意を示します」と中村ＧＭ。高野球団本部長、嶌村ＧＭ補佐との３人態勢で、どこにも負けない剛速球を投げ込む決意を示した。

　中田賢は来週中にも来季の所属球団を発表する予定で、阪神には失敗の許されない一発勝負になる。昼食を囲みながらの大一番。タテジマが誠心誠意を尽くしたラブコールを送る。