ドラ5左腕山本 虎の武田勝になる

 阪神がドラフト5位で指名した山本翔也投手(25)=王子=が29日、愛知県春日井市の王子製紙春日井工場で取材に応じ、日本ハム・武田勝のような“遅球”で勝負していく考えを明かした。直球の速さにこだわらず、タイミングが取りづらい投球フォーム、社会人で培った投球術を武器にプロでの道を切り開く。

 クレバーな左腕はプロで生き抜くすべを見定めていた。過去、直球を磨くと言って消えていった新人は数え切れない。だが「スピードは大事だと思うけど、プロで150キロ投げる人はいっぱいいる。自分もそれを目指すと良いところが消えてしまう」と言い切るのが、ドラフト5位で指名された山本だ。

 理想型は日本ハムの武田勝。直球の最速は130キロ前後ながら、巧みな投球術と抜群の制球力で白星を積み上げるパを代表する左腕だ。山本自身も最速は142キロだが、アベレージは135キロ前後。それでも都市対抗に3年連続で出場し、公式戦で2桁三振も記録。社会人で素質を開花させた秘けつは投球フォームにある。

 「見えづらいフォームが自分の長所。あと横の間が長いとよく言われます」。“横の間”とは右足を上げて地面に着くまでの時間。長ければ長いほど打者はタイミングが取りづらい。さらに打者を長く観察できることで意図的にボールを操ることが可能になる。

 左腕が上がる際も体に隠れており、打者からはボールの出どころが見えない。法大時代、二神や加賀美、三嶋ら150キロを超す投手が大勢いた。東京六大学でのリーグ戦登板はわずか3試合。チャンスをもらえず「球速を追い求めてもダメだった」と技巧派への転身が野球人生を変えた。

 生き残るすべを自分で考え、プロへの道を切り開いた左腕。今季、虎のブルペンはリリーフ左腕の窮乏にあえいだ。巨人・青木、中日・小林のように制球力にたけ、スリークオーターから打者をかく乱できる左腕は貴重な存在になる。

 「何でもいいからチームに貢献できるように」と意気込んだ山本。25歳の苦労人は球速にとらわれない打者の封じ方を知っている。

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