新井「西岡不在?打てて良かった」

 「広島1-3阪神」(5日、マツダ)

 弟分不在のピンチを救った。先制を許した直後の二回。1死無走者で阪神・新井が左中間に9号同点アーチをたたき込んだ。失速知らずの弾丸ライナー。14戦55打席ぶりの快感で、ダイヤモンドを回る速度が自然と緩んだ。

 「ランナーなしだったので思い切っていった。うまくスイングできたと思う。先制された直後に取り返せて良かった」。巨人に連敗後のカード初戦。西岡が体調不良で先発を外れる窮地も重なっただけに、負の連鎖を断ち切る値千金の一撃だった。

 「剛が雰囲気を変えた」。今季、新井はチーム上昇の立役者を「西岡」と言い切る。遠征先で頻繁に食事を共にする、かわいい後輩。2人の信頼関係が深まった“事件”がある。5月20日の西武戦(西武D)。新井は二ゴロの送球を捕球できす、その失策が敗因に直結した。難しい打球を無理な体勢で投じた西岡の送球はやや低かったが、新井は試合後の取材で「自分がしっかり捕らないといけない。完全に自分のミス」と答えた。

 翌21日、QVCマリンでの練習時に西岡が「きのうは全部(責任を)かぶってもらって、すみません」と頭を下げにきた。「ツヨシはああ見えて、すごく周りを気づかう選手。かわいいところがある」。同じFA戦士として苦楽の感情を共有できる存在。だからこそ、自然とこんな言葉が出てくる。「西岡不在?打てて良かった」。

 リードオフマン不在のピンチで勝利に貢献した。大粒の汗を光らせ、球場をあとにする新井の心は満たされていた。

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