年の瀬の食品加工会社に現れた猫 仕事始めまで従業員を待っていた? 健気な性格が幸せを呼んだ

2023年の暮れも押し迫った頃、関西圏のとある食品加工会社の工場内に1匹の猫が姿を現すようになりました。従業員がこの猫と接すると、ずいぶんと人馴れしている様子。従業員の後をついて回るようにもなりました。

そのまま工場は正月休みへ。新年の仕事始めの日を迎えましたが、年末にいた猫がまだ付近をウロウロしていました。

休みで工場は稼働しておらず、食べ物を与える人もいないはずなのに、「何かあるかもしれない」「優しくしてくれた人たちがまた来てくれるはず」と猫は会社の敷地で年を越したのかもしれません。

従業員たちは、この猫をかわいそうに思いましたが、工場では食品を扱っていることからこのまま放置するわけにはいきません。そして、保健所に連れていくことは避けたいと考えていました。

次第に痩せ細る猫を前に、この会社の社長は、和歌山県のボランティア団体・城下町にゃんこの会 和歌山(以下、城下町にゃんこの会)に相談しました。

■元飼い猫である可能性が高い

相談を受けたスタッフは、キャパシティとしては猫を保護できる状況ではあったものの、活動はあくまでもボランティアです。保護や医療ケアにかかる費用を負担してほしいと社長に打診したところ快諾。しかも、社長自身が猫を団体のシェルターまで連れてきてくれると言います。

心強い言葉を受けスタッフはこの猫を保護。動物病院で念入りな検査をすると、去勢済みのオスで推定5~8歳と分かりました。しかし、耳にはサクラカットがなく、さらに人馴れが進んでいることから、飼い猫の可能性が高いようでした。

スタッフは保健所や他の保護団体に問い合わせましたが、飼い主の名乗りはありませんでした。

■独特の愛嬌の良さから人気者に

この猫につけられた名前は「川口くん」。細い体にもかかわらず、独特のだみ声で甘える素ぶりがかわいらしく、スタッフの間でもすぐに人気者になりました。そして、スタッフは「これだけの愛嬌の良さなら、ほどなくして里親さんとのマッチングも果たせるだろう」と予感しました。

予感は的中し、保護からわずか1カ月前後で「迎え入れたい」という里親希望者さんとのマッチングを果たしました。

数日後、川口くんは預かりボランティアさんの家から里親さんの家へと引っ越し。新しい家に着くと、緊張するような素ぶりは見せず、あのだみ声はそのままにご飯をいっぱい食べ、里親さんにベタベタに甘えていました。

■健気な性格が幸せを呼んだ

報告を聞いた、会社の社長や従業員は大喜び。皆さん、良き知らせに安心したようでした。

ひとりぼっちでエサを求めて彷徨い、厳しい寒さの年末年始を過ごしながらも、優しく接してくれた会社の人たちを信じて待ち続けた川口くん。その健気な性格が、幸せな第二の猫生につながったのかもしれません。これからは優しい里親さんの暖かいお家で、穏やかに過ごしていってほしいですね。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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