宮本恒靖JFA新会長「会長と呼ばれたくない」 職員が伸び伸び仕事をしてもらえる組織を目指して

 日本サッカー協会(JFA)が行った23日の定時評議会および臨時理事会において戦後最年少、そして元Jリーガー、W杯出場経験者として初となるJFAの新会長に就任した宮本恒靖会長(47)。“ツネ様”の愛称で長くファン・サポーターに親しまれる若きリーダーのサッカーへの思い、そしてクールなイメージの中に垣間見える素顔に迫った。

 会長就任に「(実感は)もう、全くない」と話す宮本氏。協会をけん引する立場となり、未来を模索する日々は始まったばかり。その中で紡がれる言葉に『人間・宮本恒靖』の一端が見える。

 「職員が伸び伸び、いろんな発想で仕事をしてもらえる組織にしたい。27歳の職員もいるが『すごい遠いところに宮本がいるな…』とは思われたくない。できる限りコミュニケーションを取って近くにいたい」。それが理想のリーダー像だ。

 「あまり会長と呼ばれたくないという話をした。『宮本さん』とか『ツネさん』とかにしてと。役割が違うだけで同じチームやから」と呼ばれ方にもこだわりを見せる。ただ、ファンに親しまれる“ツネ様”の愛称には「めちゃくちゃ、むずがゆい」と笑った。

 「ありがたいことに20年ぐらい前から定着している」と感謝する一方で「川淵さんはキャプテン。そういうのがあったらいいよねぇと。(日本ハム・新庄監督の)BIGBOSSとかもあるじゃないですか。それはちょっときついな(笑)」とファンが親しみやすい新たな愛称も募集中だ。

 次代のサッカー界のリーダーとして期待される宮本氏。その経歴も興味深い。95年にユースからG大阪のトップチームに昇格し、並行して同志社大へと通う。引退後は指導者ライセンスを取得しながら、国際サッカー連盟(FIFA)が運営する大学院「FIFAマスター」へ入学した。

 「サッカー選手の経験もあったけど、それ以外のことをもっと知るというか、自分の引き出しの中身を増やさなきゃいけないなと思っていた」

 持ち前の探究心は両親、特に中学校の英語教師だった母・弘子さんの教えが大きかったという。

 ソフトボールに励み「プロ野球選手になりたい」と将来の夢を語る7歳の宮本少年に弘子さんは「無理やからやめとき」と言い放ったという。宮本氏も「結構、傷ついたんですけどね(笑)。宮本家で、そんなんなるヤツはおらんからやめとけと」と当時を振り返る。

 また、中学生時には「親は先に死ぬから。だから、死んだ後もちゃんと1人で生きていけるように自立させていくのが親の仕事やから」とも。「現実を伝えてくれたっていうことが大きかった。いろんな可能性を持っておくべしやなと」と、弘子さんの言葉は、その後の生き方の礎となった。

 会長として掲げた目標の一つは31年の女子W杯誘致を含む「女子サッカーの拡大」。宮本氏が「共働きで結構忙しかった。母親も教育委員会とかに入って、夜10時とかに帰ってきてバタッと寝るみたいなのがあった」と述懐する母の背中が、女性の活躍の場を広げる理念の原点かもしれない。

 86年のメキシコW杯でのアルゼンチン代表ディエゴ・マラドーナのプレーに衝撃を受け、サッカーにのめり込んだ。

 「一瞬で、1秒であれだけの人の心が動く、魂を揺さぶる。それは天国から地獄になる瞬間も含めてサッカーが持つ魅力、中毒性かなと思う」

 ユース時代にDFへ転向し、その奥深さも知る。「(当時の上野山監督に)『自分が動かなくても守備はできる。究極の守備』と言われた時は面白くて。ボールを限定して声で動かし、ここでボールを取るというイメージでね」。サッカーに大きな可能性を感じるからこそ、歩みは止めない。

 「サッカーは日本でもっと大きな存在になれる」。12年の引退セレモニーで発した思い。それを実現すべく、47歳の若きリーダーが日本サッカーのかじ取りへと挑む。

 ◆宮本恒靖(みやもと・つねやす)1977年2月7日生まれ。大阪府富田林市出身。生野高時代の92年からG大阪ユースに所属し、95年にトップチーム昇格。プロ活動を続けながら同志社大を卒業した。06年にザルツブルクへ移籍。09年に神戸へ移籍し、11年に現役引退。J1通算337試合8得点。日本代表としてW杯は02年日韓大会、06年ドイツ大会に出場。国際Aマッチ通算71試合3得点。18年7月にG大阪の監督へ就任。退任後は22年にJFA理事となり、23年には専務理事、そして24年3月に戦後最年少でJFAの第15代会長へ就任した。

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