「Ｊ１、広島５－２名古屋」（２９日、Ｅスタ）

　２位広島はＦＷ佐藤寿人（３３）のＪ１歴代最多の通算１５７得点にあと１と迫るゴールなどで名古屋に５－２で勝って同２１。年間勝ち点では浦和と５５で並び、得失点差でトップに浮上した。首位の鹿島は川崎を３－１で下し、６連勝で勝ち点を２２とした。

　ホームのピッチは佐藤のものだった。雨が舞う広島の空に両手を突き上げた。１－０の前半９分、左足でネットを揺らした。「自分で決めたいと思った」。今季１１点目は、中山が持つＪ１通算最多記録の１５７点に王手をかける一撃となった。

　右サイドのミキッチのクロスに中央から走り込んだ。自身の前にはフリーの野津田がいたが「『ＯＫ』と声をかけた」。スルーを促し左隅に流し込んだ。ゴール後には「ちゃんと判断してくれて、ありがとうと声を掛けた」と、後輩の“アシスト”に感謝した。

　負けられない試合だった。８月はホームで２連敗中。昨夏は死者７５人、尊い命を奪った広島土砂災害もあった。「地元で勝たないといけない。明るいニュースを発信していくのも自分たちの役割」。夏休み最後のホームゲーム。強い決意が体を突き動かした。

　今季はＪ１通算１５０点目を決め、Ｊ２と合わせて史上初の通算２００得点を記録。前人未到の１２年連続２桁得点も達成した。３０歳を過ぎてもなお、進化は止まらない。

　「優勝へ向けて大事な時期。１つでも多くのゴールを決めていきたい」。第２ステージは２位を守り、年間勝ち点は首位に立った。キング・カズと同様に「憧れの人」という“ゴン”を超えて、ユニホームに３つ目の星を付ける。