「イタリアリーグ、フィオレンティナ0‐2ACミラン」(26日、フィレンツェ)
ACミランが2‐0で1カ月ぶりの勝利を挙げた。ミランの日本代表MF本田圭佑は90分フル出場し、追加点となったバロテリのFKとなるファウルを受けチームに"貢献"した。上位の前節ラツィオ戦とこの試合で合わせて勝ち点4を稼いだことから、去就が取り沙汰されていたセードルフ監督の続投が、ほぼ確実となった。
同じ勝利は勝利でも、本田の姿勢は2月23日の第25節、アウェーのサンプドリア戦とは全く違った。サンプ戦では試合終了の笛と同時に、ミランサポーターの観客席にあいさつに行くチームメイトを尻目に、さっさとピッチから引き揚げた。
しかし今回は違った。ピッチでスタッフやGKアビアーティ、DFザカルドらと健闘をたたえあった後、バロテリの肩に手を回し何か懸命に話しかけながら、ミランのサポーターがいるスタンドの下へチームメイトとともに向かった。そしてスタンド真下まで歩み寄り、いきなりユニフォームを脱いでスタンドへ投げた。この“サプライズ”に次々と他の選手も続いた。ほとんどの選手がユニホームをサポーターに投げ入れ、喜びを爆発させた。
セリエAでのゴールという結果はまだ出せていない。しかし、この日はミランの一員として勝利をものにしたうれしさを行動で表現した。イタリアに来てから、初めての出来事だった。セードルフ監督からは依然として2列目の右サイドを任されている。同監督が、本田ならこなせるポジションだからと信頼されて与えられた課題を克服する日も近いのかもしれない。
試合は前半3分、ターラブトからのセンタリングで、ゴール正面にフリーでいた本田にチャンス。しかしこれを本田が蹴りそこなってしまった。同12分、右サイド25メートルの位置からのFKを本田が蹴ったが相手の壁に当たり、跳ね返ったボールでもシュートを狙ったが、得点にはならなかった。そして23分、左サイド30メートルからのFKをバロテリが蹴り、フィオレンティナのGKネトが弾いたボールを、ミランのDFメクセスが押し込み先制点となった。
後半18分には、本田がミラン陣営のカマボコのすぐ外の正面の位置で相手に押され、ファウルのジャッジが下った。これをバロテリがゴール右隅に決め、ミランが2-0とした。本田もすぐさまバロテリに駆け寄って祝福した。
試合はそのまま終了し、ミランが大きな勝ち点3をものにした。本田はバロテリとのパスの息が合わないことが数回あったが、守備の面でも努力しようという思いはプレーに出ていた。
セードルフ監督は本田について「彼は素晴らしい選手だ。イタリアのサッカーに慣れつつある。今日はとてもいい試合をしてくれた。要求に応じられる能力があるし、今日の試合でもそれを見せてくれた。私とも他の選手とも話をしている」と"本田孤立説"を一蹴し、ポジティブに見ている様子だった。