問題児ネリが復帰 山中戦から7カ月…圧勝でシルバー王座獲得

 「ボクシング・WBCシルバー・バンタム級王座決定戦」(6日、ティファナ)

 今年3月の初防衛戦で計量に失格して王座をはく奪された前WBC世界バンタム級王者のルイス・ネリ(23)=メキシコ=がメキシコ・ティファナのガスマート・スタジアムで復帰戦に臨み、ジェイソン・カノイ(28)=フィリピン=に3回2分44秒TKO勝ちした。

 日本中のボクシングファンの怒りを買ったトラブルメーカーがリングに帰ってきた。数々の騒動を起こした山中慎介(帝拳)との再戦から7カ月、ネリが復帰戦で圧勝した。

 開始から好戦的に左右連打を浴びせてきたネリはわずか30秒ほどで左ロングフックをアジャストして先制のダウンを奪う。カノイは何とか初回を耐えたが、ネリの猛攻は止まらない。3回にコーナーに詰めて連打でダウンを奪い、再開後にレフェリーストップを呼び込んだ。試合後は誇らしげにシルバー王座のベルトを巻いた。

 ネリは昨年8月に島津アリーナ京都で13度目の防衛を目指した山中に挑み、4回TKO勝ちで王座を奪取。しかし試合後、禁止薬物ジルパテロールの陽性反応が発覚したため騒動に。結局、意図的な摂取の根拠がないとして王座はく奪を免れ、3月に両国国技館で山中との再戦を行うことになった。

 その計量で再び騒動を起こす。バンタム級の上限を1回目に2・3キロと大幅にオーバー。再計量でも1・3キロ超過し、王座をはく奪された。しかし強行された試合では、山中を圧倒。計4度のダウンを奪って2回TKO勝ちし、山中は現役引退となった。

 悪質な体重超過を重く見た日本ボクシングコミッションは、ネリに活動停止処分を科し、事実上の永久追放とした。ただ、この処分は国外で適用するものではなく、ネリはバンタム級での復帰を希望した。

 今回復帰戦は空位のWBCシルバー王座決定戦となり、勝利により世界挑戦圏に入ったことにもなる。WBC世界バンタム級王座は、ネリのはく奪後は空位が続いている。ノルディ・ウーバーリ(フランス)とラウシー・ウォーレン(米国)が決定戦を行い、その勝者がペッチ・CPフレッシュマート(タイ)と対戦する流れとなっており、その先には8月に挑戦者決定戦を制した井上拓真(大橋)も待つ。ここにネリも絡むことになれば、状況は複雑になりそうだ。

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