【長谷川穂積観戦記】気になった打ち終わりにもらったパンチ

 「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(2日、両国国技館)

 日本ボクシング界、不滅の大記録に王手-。王者・山中慎介(34)=帝拳=が、同級6位カルロス・カールソン(メキシコ)を7回TKOで下し、日本歴代単独2位となる12度目の防衛に成功した。“神の左”で挑戦者を5度倒す圧勝劇。次戦で防衛に成功すれば、具志堅用高の持つ日本記録、防衛13回に並ぶ。

  ◇  ◇

 【世界3階級制覇・長谷川が見た】すばらしいKO勝利だったと思います。ただ、僕は引退したばかりのボクサーなので、ビッグパンチをもらってダメージを引きずる場面がどうしても気になりました。13度防衛を超える。しかも余裕で超えて、さらにボクシングをやり続けてほしいからこそ、この試合を教訓にしてほしいと思います。

 この試合で山中選手は、左ストレートからの左アッパーの際に相手の右フックをもらうなど、打ち終わりを狙われました。ぶっ倒すのが彼のスタイルですが、それはリスクを背負うこと。僕自身も経験してきたことです。

 守備的になれば隙(すき)は生まれづらくなりますが、それは彼のスタイルではない。この試合のように先に当てて倒してしまえば勝てるのです。紙一重のせめぎ合いで、いかに相手に隙を与えないようにするかを考えるしかありません。

 「神の左」という名をつけられたことで、本人はその強さをより意識するようになったと思います。キャッチフレーズを重圧に感じず、プラスにして「神」と呼ばれるに値する武器へと育てた。もっともっと防衛を続けてほしい。そのためにもダメージを残さない試合をしてほしいと願っています。(前WBC世界スーパーバンタム級王者・長谷川穂積)

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