渕、最年長奪取ならず「目の前真っ白」
「全日本」(14日、後楽園ホール)
60歳11カ月の渕正信が世界ジュニア王座に挑戦したが、奪取はならなかった。元同王者の渕にとっては96年7月に陥落して以来の返り咲きを目指し、96年以来10年1月にカズ・ハヤシに挑んで以来、約5年ぶりの挑戦。還暦の自身が10月のアジアタッグ挑戦の際に樹立した、国内メジャー団体主要王座の最年長挑戦記録を更新する一戦でもあった。
歓声に後押しされ、粘りは見せた。王者の青木篤志が厳しい攻めを見せても、のらりくらりと巧みにかわした超ベテランは、決定的なダメージを回避。しかし、23歳下の王者に対し、すべてを懸けた計9発のバックドロップでも決めることはできなかった。次第にスタミナを消耗。最後はスリーパーで執拗(しつよう)に絞め上げられ、移行した肩固めでギブアップした。
試合後、同じ40周年、還暦で試合を裁いた和田京平レフェリーに感謝した渕は「実力差がかなりあった。簡単に負けられないとは思ったけど。最後は目の前が真っ白になった。バックドロップ?オレにはそれしかないから」とサバサバした表情で完敗を認めた。
還暦&40周年イヤーに奮闘した渕は、来年以降の王座挑戦を聞かれると「これだけやれば十分だろう。誰かいるか?還暦でベルトに挑戦した人は。声援には感謝するけど」と否定的だった。