【競馬】心に訴えるJRAのCM ファンの胸に残る主役は

 サトノダイヤモンドが有馬記念を制し、幕を下ろした昨年の中央競馬。1、2、3番人気の上位人気馬の決着に、暮れの「一攫千金」をもくろんだ競馬ファンにとっては少し寂しい結果になったかもしれない。だが、普段競馬をしない人々でも「有馬記念は馬券を買う」といった声を非常に多く耳にし、改めて有馬記念のすごさを感じた。

 「競馬をやらない人」が競馬を始めるきっかけ、「競馬を知っている人がもっと競馬を知りたくなる」きっかけは何だろう。多大な影響力を誇るのはやはり、JRAのブランドCMではないだろうか。そこで今回は過去のJRAのテレビCMをたどってみたい。

 まず、記憶に新しいのが15年からスタートした「あなたの競馬が走り出す」というコピーのもと、笑福亭鶴瓶、瑛太、有村架純といった有名タレントが出演しているもの。若者に人気のタレントを起用し、最後のオチで「クスッと」笑ってしまうユーモア感と、いきものがかりのテンポのいい曲が耳に残る。

 どんな有名人が過去のJRAのCMに出演していたかを調べた。08年~10年は佐藤浩市、大泉洋、小池徹平、蒼井優の4人がコミカルに競馬ファンを演じた。03~04年は明石家さんま。本木雅弘と鶴田真由が競馬場の直線コースに足を踏み入れ、「私の本命馬はここに居た」と語り合う97年。そして高倉健が名演技で「あなたと話したい競馬があります」と語りかける92年と93年。これほどまでに日本を、そして当時を代表する有名人が豪華に集う顔触れは、見ているだけで楽しい。

 一方、競馬玄人をターゲットにしたものもある。このCMが個人的に最も印象に残った。13年の「THE LEGEND」と12年の「THE WINNER」である。名馬が勝った過去のレースを、的確かつ表現力豊かなナレーションとレース映像のみで振り返るというものだ。

 例えばこうだ。「93年天皇賞・春。極限までそぎ落とした体に鬼が宿る。王者メジロマックイーンの3連覇を阻んだ、漆黒のステイヤー。ヒールかヒーローか、悪夢か奇跡か。その馬の名は、ライスシャワー」。なんとも言い得て妙なナレーションである。

 「好きな有名人が出演していた」というきっかけで競馬場へ行き、馬が織りなすドラマに心を揺さぶられる。そこで興味を持ち、前段のCMで系譜をたどれば相乗効果になる。「競馬を知るきっかけ」となる主役はいつも、「勝ち馬」なのかもしれない。(デイリースポーツ・向 亮祐)

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