【ボクシング】世界奪取の小国“パーフェクト王者”破った見事な戦略

 昨年12月30日と31日に、東京、岐阜、京都の各都市で行われたボクシングの世界戦は全7試合。見応えのある試合ばかりの中、とりわけ印象的だったのが世界初挑戦でIBF世界スーパーバンタム級王座に就いた元日本、東洋太平洋同級王者の小国以載(角海老宝石)の一戦(31日、京都)だ。

 前評判は不利だった。王者ジョナタン・グスマン(ドミニカ共和国)は22勝(22KO)1無効試合というパーフェクトレコードを継続中。7月に行われた世界王座決定戦で和気慎吾(古口)の顔面を崩壊させた11回KO勝利も記憶に新しい。

 しかし、小国は勝機を見つけ出していた。「グスマンというと和気戦のイメージが強くて思い切り攻撃的なイメージがある。だけど、右ボクサーと闘っている映像を見ると、和気戦とは違う。オーソドックスなんです」と分析。和気戦とは違う闘い方で臨んでくると予想し、その通りの展開となった。

 また、連続KO記録が落とし穴になるとも予告していた。「あの記録のために、必ずKOを狙ってくる。終盤、ポイントでリードしていても逃げ切り勝ちは考えないはず。最後まで立っていれば必ずチャンスはある」と話していた。

 試合は小国が3回に左ボディーを決めてダウンを奪った。この試合、何度も見せたえぐりこむようなボディーこそ、阿部弘幸トレーナーと徹底的に練習してきたグスマン攻略の必殺兵器だった。公開練習でも、ボディーの練習は見せていたが「戦術については話すことはできません」(阿部トレーナー)と緊張感を保ち続けていた。

 11回にはその真骨頂ともいえる見事な角度、スピードの左ボディーを食い込ませて王者に膝を付かせたが、これが「ローブロー」と取られた。信じがたいミスジャッジだったが、グスマンの戦意を奪うには十分だった。ひょうきんなキャラクターの内に、沈着冷静さも秘めていた。

 3-0の文句なしの勝利でチャンピオンベルトを巻いた。初防衛戦は次期挑戦者の岩佐亮佑(セレス)との日本人対決の可能性が高いが、萩森健一マネジャーは「決定しているわけではありません。交渉次第」と話している。(デイリースポーツ・津舟哲也)

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