【野球】40歳・大家はメジャーで通用するのか ナックルボーラーの挑戦

 米大リーグ・オリオールズが15日(日本時間16日)、今季は独立リーグ、ルートインBCリーグの福島でプレーした大家友和投手(40)とマイナー契約を結んだと発表した。来年3月に41歳となるベテランが契約を勝ち取れたのは、ナックルボーラーとして生まれ変わったからでもある。日本ではなじみがないが、メジャーではかつてニークロ、ウェークフィールドといった名ナックルボーラーがいて、今シーズンでいえばブレーブスのサイ・ヤング賞右腕、ディッキーが10勝、レッドソックスのライトが13勝を挙げている。またニークロは48歳、ウェークフィールドは45歳のシーズンまでプレーし、ディッキーは今年10月で42歳と、息が長い。ナックルボーラーとはどんな投手なのか。息が長いのはなぜか。どうしてわずかな人数しかいないのか。大家がマイナー契約を勝ち取れたのはなぜか。巨人などで投手として活躍したデイリースポーツ評論家・関本四十四氏に聞いた。

 ナックルボールとは、5本の指を折り曲げてボールを握り、押し出すように投げる変化球。「揺れて落ちる」と言われる不規則な変化が特徴で、投げた本人も、受ける捕手も、どこに行くか分からないと言われる。そして、投げる球の多くをナックルボールが占める投手を「ナックルボーラー」と呼ぶ。関本氏はこの魔球を操る投手に、巨人時代のアメリカキャンプで初めて遭遇した。「日本のキャッチャーは、ブルペンでも捕れなかった。むこう(メジャー)のキャッチャーが、ナックルボーラーがマウンドに上がると、キャッチャーミットのお化けのようなのを着けて捕っていたのも衝撃だった。緩い球で強打者を打ち取ると、お客さんはすごく盛り上がった」と振り返った。

 ナックルは不規則な変化をするがゆえに、扱いが難しい。いくら変化しても、全てボールになってしまっては勝負にならない。関本氏は「自分も遊びでしか投げたことはないが、意図して操るのは本当に難しい。昔、ナックルボーラーになるのにかかるコストと収入を研究した論文を読んだことがある。研究材料になるぐらい、身につけるのは大変ということだ」と言う。一方で「技術を習得することができれば、ある程度長くやれる」のも特徴。「通常の投球は腕のしなりを使って投げるが、ナックルは腕を押し出すように投げる。腕をしならせるとコントロールできないからだ。ナックルボーラーは、技術を身につける過程で肩や肘に負担がかからないフォームを自分のものにしている。腕のしなりを使わず、肩や肘に負担がかかならないフォームならば、故障する可能性は低く、長くやれる」と解説した。

 日本のプロ野球では、真のナックルボーラーと呼べる選手は出ていない。「日本ではなじみがないから、野球を始めたときからナックルボーラーだという選手はまずいないだろう。仮に、故障などでナックル習得にかけるしかない状況に追い込まれても、日本人の指は短いからナックルには向かないし、習得にも時間がかかる。ボールが遅いから、足を使ってくる相手には不利になるというデメリットもある。プロレベルで通用するようになるのは本当に大変なこと」と関本氏。大家は横浜復帰2年目の2011年に右肩の手術を受け、そこからナックルボーラーへの道を歩みだした。日米の独立リーグで投げ続けた末に、再びマイナー契約を取った。文字で書くのは簡単だが、そこには想像を絶する苦労があったはずだ。

 オリオールズが、マイナー契約とはいえ40歳の投手を獲ったということは、そこに可能性を見出したということだろう。つまりナックルボーラーとして、メジャーで勝てる可能性があるということだ。「メジャーで勝ち星を重ねたピッチャーだし、経験はある。独立リーグでナックルの技術を身につけたのなら、メジャーで結果を残す可能性はあると思う」と関本氏。大家はメジャーキャンプには招待されておらず、マイナーキャンプのスタートになるという。そこからメジャーにはい上がるのは至難の業だが、「大家の挑戦はすごいことだと思うし、野球人として心から応援している。ぜひメジャーで投げてほしい」と、40歳右腕にエールを送った。(デイリースポーツ・足立行康)

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