ペットの写真から、そっくりの立体的な似顔絵時計を作ってくれる「木製オリジナル３Ｄリアルペット時計」が、ペット愛好家の間で話題になっている。木工アートやエアブラシアート作品などを制作する「アートクリエイト」（福岡市南区）の倉員金緑（くらかず・きんろく）さん（５４）が、今年１月から本格的に販売を始めたオーダーメードのサービスだ。依頼の７割は愛犬を亡くした飼い主から。手作りによる温かみがあり、「あの子が帰って来たみたい」と喜ばれている。

　「３Ｄリアルペット時計」は今春、福岡の地元テレビ局の情報番組で紹介されると、これまでに１５０個以上の注文があった。特に愛するペットを亡くした飼い主からは「そばで見守ってくれているようだ」と喜ばれている。

　倉員さんは依頼者のワンちゃんの写真を見ながら下書きした木を切り出し、鼻など出っ張っている部位は、木を重ね合わせて高くする。その後、肉盛（パテ埋）することでなめらかな立体感を生みだし、その上にエアブラシで緻密な絵を描いていく。最後に時計を組み合わせれば、木のぬくもりがやさしい、世界にたった１つの３Ｄペット時計の完成だ。

　長年連れ添った愛犬を亡くした飼い主からの依頼が７割以上を占めるという。「ペットはずっと一緒に生活をともにしてきた家族。亡くなっても『あの子のことが忘れられない』という方は少なくないんです」と倉員さん。このペット時計を作ったのは、「友人のワンちゃんが亡くなる少し前に、そのワンちゃんの絵をエアブラシで描いてプレゼントしたら、すごく喜ばれた」のがきっかけだった。「亡くなったペットの写真を額に入れて部屋に飾る方は多いですが、ふだん見る機会は少ないですよね。でも、時計が付いていれば、いま何時かなと見るたびに、ともに過ごした楽しい時を思い出して幸せな気持ちになれるのではと思ったんです」と話す。

　完成した時計を受け取った客からは「うわっ、似とる！」「想像以上に繊細でリアル」「あの子が帰ってきたみたい」「早く家族に見せたい」などと喜ばれている。「家族にプレゼントしたいから」と、ポーズを変えて、１人で幾つも注文する客もいるという。

　亡くなったペットだけではなく、「現在飼っているペットで作ってほしい」というオーダーも。「『彼女の飼っている愛犬を３Ｄペット時計にして、誕生日プレゼントにしたい』という男性や、『元気で輝いているいまの姿を残しておきたい』という方もおられますね」。３Ｄリアルペット時計の価格は１万８５００円（税込）～。時計の長短針を肉球のデザインにするといったオプションサービスもある。すべて倉員さんの手作りのため、１つ作るのに４～５日を要する。

　時計を付けずに、ペット絵と額のみや、持ち運びができるキーホルダータイプにすることも可能だ。「亡くなったワンちゃんやねこちゃんの飼い主さんが目をうるませて『宝物にします』との言葉をいただいた時は、一生懸命作ってよかったとつくづく思います」と倉員さん。「ペットを愛する方々に喜んでいただけるような作品を、これからも心をこめて作っていきたいですね」と笑顔で話した。（デイリースポーツ特約記者　西松宏）