【社会】答え合わせだった舛添知事会見

 「トップリーダー」としての資質は、最後まで見ることができなかった。5月13日から4週続けて、定例会見で政治資金の公私混同疑惑について釈明してきた、東京都の舛添要一知事(67)。6日にはついに「公正な第三者」に依頼した調査結果を公表したが、違法性のなさを強調し、あくまで辞任の考えがないことを明言した。

 毎週のように会見に参加し、質問の機会を求めてきたが、一度も恵まれなかった。だがいずれにせよ、一連の釈明で舛添知事を「適任」と断じることは、現時点では到底、できそうもない。とにかく、言行不一致が目立ちすぎるためだ。

 舛添知事は政治学者時代、テレビのコメンテーターとして活躍。歯に衣着せぬ発言で「政治とカネ」の問題をめった斬りににしてきた。だが今回、自身の疑惑については、最後まで自らの判断を口にすることはなかった。

 例えば、27日の会見では「言いたいこともあるが、調査が終わるまでは控える」という旨の発言をしていながら、6日に改めて「言いたいこと」を問われると「極めて厳しい調査結果、そしてご指摘を今いただいておりますので、今はそれを厳粛に受け止めてしっかりと反省し、改めていきたい」と述べたのみ。質問も、自身の過去の発言も無視した形だった。

 舛添知事は以前、第三者による調査を「時間稼ぎか」と問われた際には「引き延ばしではない」と声を荒らげて否定した。だが結果として、弁護士との“答え合わせ”を待っていた感はぬぐえない。トップリーダーたるもの、自身の政治活動の是非について、他者の判断を仰いでからしか発言できないというのは、そもそも資質に欠けるのではないか。そして判断を仰いだ後もなお、自身の言葉での説明を拒絶したとなれば、完全に責任を放棄していると言わざるを得まい。

 政治学者であり、政治家であり、「政治資金規正法には精通している」と自称する舛添知事。一連の疑惑が厳密には違法でないことは、承知の上だったはずだ。そして本当に問われているのは違法性ではなく、知事としての適正であったことも、また然りだ。

 実際、調査を行った弁護士からは、違法性は一切指摘されなかった。だが一方で、「不適切」とされた案件は1つや2つではない。今回の発表で明確になったのは、違法性のなさよりもむしろ「公私混同」が少なからず存在したという事実の方だろう。加えて、法の専門家が精査して「不適切」と判断した事案に、違法性が認められない政治資金規正法そのものが「不適切」なのではないかという疑問もだ。

 それでも舛添知事は、あくまで知事職にしがみつくことを選んだ。公表を受け、改めて知事を続ける資格を問われると、「今は全力を挙げて都民のために働かせていただきたい」と、まったく答えにならない答えで強弁した。都民感情についても「有権者のご判断にお任せしたい」と、都民の代表者とは思えぬ回答。本当に有権者の判断に任せるのなら、一度辞任して選挙という機会を与えるのが筋ではないのだろうか。

 結局、「多くの厳しいご指摘」を受けたと繰り返しながらも、「反省」以外、何ら具体的な対応は挙げられなかった。また「厳しいご指摘」とされた弁護士の調査自体も、関係者へのヒアリングも十分ではなく、「領収書があって、実物があれば、それは購入したんだろうという判断」といった手法であり、一般的に考えて「厳しさ」は感じられない。

 そして反省の証として挙げた3つの「けじめ」も、寄付や別荘の売却などで、都民の利益になるものとは考えにくい。自らの“雇用主”たる都民に向き合う誠意は、うかがえなかった。

 一貫して非難の声に耳をふさぎ、逃げの姿勢を崩さなかった舛添知事。その逃走路の果てに、東京五輪という晴れの舞台が待っていると思うと、暗澹たる気分にならざるを得ない。(デイリースポーツ・福島大輔)

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