【野球】就任1カ月で随所に“由伸色”

 巨人・高橋由伸監督(40)が率いる新体制となって、約1カ月が経過した。今月7日から行われた宮崎秋季キャンプでは、随所に“由伸色”を発揮。球団が期待した通り、チームに少しずつ新しい風が吹き始めた。

 近年は名将・原辰徳前監督への依存度が強まり、選手の個性や自主性が失われている傾向も見えた。だが、秋季キャンプではマンネリ化していた空気が薄まり、若手だけでなくベテランも必死にアピール。新指揮官も「全員を見ています」とメッセージを送り、先入観や固定観念を持つことなく、各選手の動きに視線を送り続けた。

 大きく変化したのは練習メニューだ。今までは練習の最後に行うことが多かったランニングメニューや筋力トレーニングを最初に導入。「技術的な練習を余力を残さずにやってほしい。現役時代から思っていたことを、いいタイミングだから試してみようということになった」。

 今季まで現役だった監督らしく、選手の目線や心情を意識した姿勢が目立つ。これまでは夜間練習として、宿舎で素振りを行うこともあったが、由伸監督の意見もあり、今キャンプでは行われず。現役時代はけがに苦しんだ経験を持つだけに、体のケアも重視。グラウンドで効率よく、より集中して練習を行う環境を整えた。

 打撃練習では、選手の能力を刺激しようとさまざまなメニューも試された。バーチャル映像付きの打撃マシンを使った打ち込みや、由伸監督も少年時代に使っていた約2メートルの長丈バットによる素振りなどを導入。指揮官は「コーチ陣も選手に飽きがこないように工夫してくれている」と言うように、活発に意見交換をしながら、チーム一丸となって課題の打力強化に取り組んでいる。

 練習の合間にはファンのサイン色紙にペンを走らせ、球場から宿舎まで少年少女らと一緒にランニングを行うファンサービスも企画した。連日、球場入り前には約15分の道のりを歩きながら、報道陣に取材対応。明るい話題を発信しようという思いが伝わってくる。

 野球賭博問題によって、チームには逆風が吹いているが「起きてしまったことはしっかりと受け入れないといけない。信頼回復に向けて選手も含めて一生懸命に野球をやるしかない」という。フレッシュな由伸監督のもとで、チームは光を求めて進み始めている。(デイリースポーツ・佐藤啓)

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