今秋一番の期待馬はトーホウジャッカル

 JRA開催は既に上半期が終了。コパノリッキーのフェブラリーS連覇、ドゥラメンテの皐月賞&ダービー2冠、そして相変わらず破天荒キャラだったゴールドシップ…。馬券で笑った人も泣いた人も、記憶に残る前半戦だったのではないか。

 下半期のJRAではスプリンターズS(10月4日・中山)を皮切りに、11の平地G1が行われる。主役不在の菊花賞、混戦が予想されるマイルCS、さらには新たなスター誕生となる2歳戦など楽しみなレースがそろう。「秋はどの馬に注目しているの?」。最近、よく聞かれるが、胸を張って張ってこう答えている。「トーホウジャッカル」と-。

 宝塚記念(4着)のレース後、検量室周辺での取材シーンが印象に残る。「もっと信頼して乗るべきだった。慎重に乗り過ぎた」。そう言って酒井学騎手が悔しそうな表情で引き揚げてきた。外枠だったため終始外を回る形。壁をつくれず、道中は行きたがるそぶりを見せていた。長期休養明けで普通なら息切れするところだが、史上最短のキャリアで昨年の菊花賞をレコード勝ちしたG1馬はひと味違った。直線は一瞬“勝つんじゃないか”と思わせる伸び。最後は前と脚色が同じになり、かわすまではいかなかったが、存在感を十分に示した。

 「1回でも使ってから、ここを走らせたかったなあ」。そんなため息が漏れるのも当然だった。調教中に右前脚の爪を傷め、今春の始動戦に予定していた阪神大賞典を回避。回復に時間がかかり、天皇賞・春もパスすることになった。結局、前哨戦を使えず宝塚記念はぶっつけ本番。菊花賞以来、8カ月ぶりだったのが悔やまれる。

 デビュー戦が昨年のダービー前日。既走馬相手の未勝利戦は10着に敗れた。この時のファーストコンタクトで酒井騎手は「かなり走る」と手応えをつかんだという。未勝利、500万下と連勝し、玄海特別(1000万下)は2着。レース後、鞍上は谷潔調教師に「1800から2000メートルがベストだと思います」と伝えた。中距離向きだと思っていた馬が、菊花賞馬に-。着実に力をつけ、成長する相棒は想像をはるかに超えていた。

 菊花賞を勝ち、不利な条件で挑んだ宝塚が4着。主戦は今、どの距離に適性を感じているのか。「実際のところは分からないですね(笑い)」。1600、1800、3000メートルと、勝った距離が全て違うオールラウンダー。ベストの条件はつかめないという。では、下半期で手応えのあるG1は?と聞くと、同騎手は「ジャパンC(11月29日・東京)」と即答した。

 「たとえ外枠を引いても、府中の2400メートルなら内に潜り込みやすい。前に馬を置けば折り合いもつくから。直線もばらけるし、さばきやすい。長い直線もいい」と、秋に予定する大舞台に胸を躍らせている。無限の可能性を秘めている4歳馬。今後の活躍が楽しみでならない。

(デイリースポーツ・井上達也)

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