交流戦健闘ヤクルトの“理由ある反攻”

 大詰めを迎えているプロ野球のセ・パ交流戦。今年も6年連続の勝ち越しを決めたパ・リーグの強さが目立ったが、劣勢のセ・リーグの中でヤクルトが健闘を見せている。

 交流戦は昨年まで5年連続負け越し。しかも、その間は45勝69敗6分けで・394の低勝率だったのが、今季は13日現在で勝ち越し決定まであと1勝に迫る8勝7敗1分けと数字を大きく改善させた。

 交流戦開幕前は首位だったDeNAが3勝13敗1分け、2位だった巨人が7勝10敗と急失速したのとは対照的。4月下旬までは首位に立ちながら、わずか2週間あまりで最下位に転落した最悪の時期から脱し、反攻に転じる気配を漂わせている。

 その要因は不振だった打線の復調が大きいといえるだろう。交流戦に入って畠山が9本塁打と爆発し、約1カ月前には打率2割5分台にあえいでいた山田が3割に乗せるなど、打つべき人に当たりが戻った。また、ルートインBCリーグの新潟から緊急獲得した新外国人デニングも、数字は出ていないものの、7日のロッテ戦で逆転満塁本塁打を放つなど、印象的な活躍を見せている。

 反攻を期待させる材料はまだある。右肘じん帯再建手術を受けた78勝右腕の館山も2軍で好投を重ねるなど順調に復活へ近づき、18日に登板するイースタンリーグ・楽天戦(利府)の内容次第では、交流戦明けにも1軍登板する方向だ。さらに、その先には左大腿直筋肉離れの手術を受けて米国でリハビリ中の“60発男”バレンティンの復帰も待っている。

 真中監督も逆襲に自信を持っているのだろう。敵地でソフトバンクに敗れて1勝2敗と負け越した5月31日。東京へ戻る飛行機に乗り込む前、「ウチは7月反攻だから」と笑みを浮かべた。冗談めかしていたが、戦力が整ってからが勝負と考えての言葉だったのかもしれない。だが、6月に入ってからは6勝4敗と、数字だけ見れば反攻は1カ月早まったようだ。

 現在のセ・リーグは、首位から6位までが4・5ゲーム差以内にひしめくダンゴ状態。期待の戦力が戻って今の勢いが加速すれば、ヤクルトが“乱セ”の主役に躍り出る可能性は十分にある。

(デイリースポーツ・洪 経人)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス