上西議員“残念会見”でキレた質問とは

 大阪の“4月恒例行事”とならねばいいが、昨年のSTAP細胞問題の小保方晴子氏に続き、今年は国会病欠騒動の上西小百合衆院議員が4月3日深夜、3時間の釈明会見を開いた。同じ昭和58年生まれ、ブランド服で会見と共通項もあるが、こと会見での言動に限れば、キレる、スネるのNGを連発した上西氏会見は悪い意味で見どころ満載に。同席した橋下徹氏(大阪維新の会代表)に弁護士手腕で問題の本質をあぶり出されるも反応は鈍く“残念会見”に終わった。

 3月の国会サボリ疑惑や、直後の秘書との旅行疑惑の全てにおいて反証提示するなど釈明を行った上西氏。後に首をかしげる結果となった小保方氏の「STAP細胞はありまーす」「200回成功した」発言に比べれば、上西氏会見は旅行疑惑について「公務の一環」と訪問先の面会相手を提示するなど、理解できる説明が多かったのも事実だ。

 ただ上西氏は、テレビや週刊誌の旅行疑惑報道に対して怒りのエンジンがかかり、何度かスパークした。デイリースポーツの質問場面でも2度、ボルテージがあがるシーンがあった。質問は「この会見は上西さんの自発的な会見ですか」「最初に各社に送ったFAXは党主導ですか」だったが、上西氏は経緯を説明するうちに、疑惑報道があったことを挙げて怒り口調となり「何を言っているのか」「なんですか?!ホワイトデー旅行?」「あまりにひどいじゃないか」「あまりに事実をねじ曲げている」とキレてしまい、毎回、傍らの橋下氏が「それは言わないほうがいい」と制した。

 今回の会見で、上西氏は大半の質問には冷静に回答したのだが、放っておけば疑惑報道に対して怒りをあらわにし、以降も2度、スパークを起こす“失点”を重ね、最後は制止役の橋下氏も失笑を浮かべた。

 その橋下氏。冒頭からたびたびマイクを握り、時に司会進行、肩代わり釈明、仲裁役もこなした。上西氏の単独会見なら、報道陣との間で大紛糾し、騒動が肥大化したのは間違いないだろう。

 一方で橋下氏は、報道陣の質問途中で補うように、上西氏の時系列説明に「それは何時?」「そのときの体調は?」「薬は飲んだの?」「フグ食べたんでしょ?」などと鋭く質問も入れた。

 最も弁護士ならではの手腕をみせたのは、上西氏が「ウイルス性胃腸炎で、嘔吐や下痢で一睡もできなかった」と、予算案採決がとられた国会本会議を病欠して新幹線で大阪に戻った3月13日に関して、仮病でないと必死に訴えている場面でさりげなく。

 橋下氏「何時の新幹線に乗ったんでしたっけ?」

 上西氏「朝9時ごろです」

 衆院本会議は夕方午後5時開始だった。

 議員ならずとも、一般社会でも、夕方の重要会議を朝イチであっさりキャンセルしたとなれば…。今回の問題の本質といえる、上西氏の国会活動への姿勢をあぶり出した格好だが、当の上西氏はサボリ疑惑への釈明で頭がいっぱいの様子で、地元の大阪の自宅のほうが療養に適していたと、ややピントのズレた説明に終始した。

 ここが会見のターニングポイントとなり、橋下氏は「本会議がある時間に、新幹線に乗って大阪に帰ってしまっていたというのは不可解だ」と厳しく指摘。

 その後は、病欠前夜に都内ショーパブなど3軒をハシゴした問題を「最悪」。“公務の一環”で訪問した京都・宮津で夜に秘書の実家に宿泊したことに「そりゃデートだと言われても仕方ない」とも断じた。ここで上西氏がスネたようにふくれっ面をみせたシーンが、その後、テレビで繰り返し報じられた。

 終盤には、事前に直撃取材したテレビ局クルーに巻き舌恫喝を加えた秘書が加わり、謝罪。日付が変わるまで続いた会見を生中継したネット番組は12万人が視聴する盛況となった。

 “釈明会見、キレたら負け”を立証する格好となった上西氏。後日、維新から受けた除名処分を「エモーショナル(感情的)な感じ」と批判したが、自身の会見もかなり“エモーショナル”だった。

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