京大初プロ・田中 取材殺到にも自然流

 新年を迎え、プロ野球界は新入団選手の話題が目白押し。中でも、最も注目を浴びているといっていいのは、京大初のプロ野球選手となったロッテのドラフト2位・田中英祐投手だ。秀才右腕の一挙手一投足に熱視線が注がれているが、そんな“田中狂想曲”も、本人はいたってマイペースに受け止めているように見える。

 ロッテ担当記者として田中を取材し、まだほんの数カ月。それでも、彼の人となりが、少しずつ垣間見えてきた部分もある。こちらに対して必要以上に愛想を振りまいたりなど、人懐っこいタイプではないが、だからといって決してマスコミ嫌いというわけでもない。普通、これだけの取材攻勢にあうと、多少なりとも警戒心を強めたりするものだが、いたって自然に応じている。そして、こうした世間の注目に、自らを過信している様子もない。田中自身、「すごい現実的だとよく言われます。感情より論理性を持って考えがち」と分析していたが、それもうなずける。

 京大生らしい頭の回転の速さからか、受け答えはテンポが良い。そして、淡々としているようでいて、質問の内容によってはごく自然に笑顔がこぼれるし、あるときは、質問の意味に対し、ウーンと考えながら、真摯(しんし)に彼なりの答えを導き出す。

 また、例えば、マスコミ受けする“字になるフレーズ”で引きつけるタイプの選手もいるが、彼の場合、いいのか悪いのか、そういうタイプではない気がしている。だが逆に、そうやって必要以上に自分を飾り立てることもしない。そんな印象を受ける。

 昨年10月のドラフトで指名されて以降、多くのメディアが殺到した。卒論執筆や練習で多忙を極める中、球団が定期的に取材日を設け、実に数十件の取材をこなしてきた。おそらく同じようなことを何回も聞かれてきただろうが、いい意味で、田中のクールなトーンが変わることはない。「マウンドでも、あんまり顔に感情が出ないほう。投手としては、感情が顔に出ないのはプラスだと思います」と自らについて話していたことがある。彼も人間だし、心の中ではうんざりしている部分もあるかもしれないが、それを見せることは決してしないだろう。それが、田中の持ち味なのではないだろうか。

 当初は、専属広報を置くプランも検討されたが、それはしない方針だ。球団サイドも、特別扱いとなることで逆に田中がやりづらくなるだろうと判断したためだが、また本人も、そのような扱いを望んではいない。これからキャンプに入り、フィーバーがヒートアップすることが予想されるが、柳のように受け流し、また跳ね返すだけの力量が、田中には備わっているように感じる。周囲を気にせず、決してぶれることのない芯の強さ。これからプロとして大成するためには様々な条件があるだろうが、彼のこうした部分は、“武器”のひとつとなるかもしれない。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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