寡黙な男、小笠原の復興への熱い思い

 10月27日、日本プロサッカー選手会が東日本大震災の復興支援活動の一環として行うチャリティーマッチ(12月14日・ユアスタ)の出場選手44人を発表した。サッカーを通じて、東北の子供たちや被災した人たちに笑顔を届けているこのイベントだが、岩手県出身の小笠原(鹿島)の言葉が重かった。

 「震災から3年半がたったけど、残念ながら報道も減ってしまっている。まだ日常を取り戻せない人も多い。少し前に聞いて驚いたのだが、3年半たっても、まだ24万人の人が仮設住宅での避難生活をしている。復興というのはまだまだ進んでいないのが現状です。(東北に)来てくれる人も減ったという話も聞きますし」

 自らも『東北人魂』という任意団体の発起人となり、これまでも継続的に被災地での支援活動を続けている小笠原が最も恐れているのが、震災の風化だ。

 東日本大震災以降も、広島の土砂災害や台風、火山の噴火と大きな災害が続いている。日本に住む以上、災害は切っても切り離せないだけに「どこで何が起きるかわからないし、自分の身は自分で守るしかない時もある。復興も大事だけど、まずは“防災”というところを強く意識して欲しいですね」と自らの考えを語った。

 2011年にスタートしたこのイベントは、今年で4度目。「選手が被災地に足を運ぶと、やっぱり『楽しかった』とか『またやってね』と喜びの声を聞くことができる。個人的にもこのイベントが続いていってほしい」と小笠原。

 試合に向けても「サッカーを見て楽しい思いになれるよう、ああやってJリーガーになりたいと夢を持ってもらえるようなプレーをしたい。いまだ癒えない心の傷を負った子供たちもいる。それを消すことはできないけど、Jリーガーとふれ合う思い出というのも大事なものになるかもしれない。とにかくいい試合をしたいです」と熱く意気込みを語った。寡黙な男の胸には、熱い熱い思いが潜んでいる。

(デイリースポーツ・松落大樹)

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