阪神CSファーストS突破へのキーマン

 セパ両リーグともに11日からクライマックスシリーズ(CS)が始まる。セ・リーグ2位の阪神は、過去4度出場したCSでは全てファーストS敗退で通算1勝8敗。5度目の挑戦でファイナルS初進出を目指す。

 シーズンを振り返ると、打線はクリーンアップが盤石で、6番・福留もシーズン終盤に調子を上げた。先発陣もメッセンジャーを中心に安定しており、いかに呉昇桓へつなぐかが勝利へのポイントだ。福原、安藤の両ベテラン右腕とともに、20歳の松田もキーマンとなる。

 3年目の右腕は、今春キャンプ中の右肘痛で出遅れて、9月14日にようやく1軍昇格。3試合連続で無安打無失点と結果を残し、勝ちパターンに組み込まれた。阪神には150キロを超える球威を誇るリリーフ投手が少ないため貴重な存在だ。

 松田にとってもCSは念願の舞台となる。2年目の昨季は、1軍初登板から17試合連続無失点と好投。後半戦は勝ち試合で起用された。

 だが、終盤に調子を落として、CSファーストS前日に出場選手登録を抹消された。「今年は遅れた分、試合数が少ないので頑張ろうと思ってやってきた。まだ(CSの)メンバーは決まっていないけど、最後まで残って、投げられることができればと思う」とポストシーズンでの出番を心待ちにしている。

 ケガに苦しんだ今季の経緯も松田の意気込みを強くする。今春の宜野座キャンプ。2月19日に右肘外側張りを訴えて途中離脱した。

 状態が改善されず、球団から右肘の手術の提案を受けたが、保存療法を選択。5月15日のキャッチボール再開まで、ノースロー期間は3カ月にも及んだ。

 「3カ月もノースローは野球人生で初めてだった。みんな試合をしているし、自分は何をしているんだろう、という気持ちだった。でも、ケガしたのは自分のせいなので、この期間をどう過ごすかということを考えていた。自分を見つめ直す機会ができたと捉えて、また違う自分が見せられるようにしよう、と考えていた」

 長くつらいリハビリ。それでも常に前向きだった。松田と同じく春季キャンプで肘を痛めて離脱し、ともにリハビリに励んだ岩貞は当時をこう振り返る。「松田はいつも前向きで、逆に自分の励みにもなりました。彼から弱音を聞いたことはなかったですね」。地道なリハビリの成果で、8月に実戦復帰。一気に1軍にまで駆け上がった。

 松田は1軍昇格後、何度も周囲への感謝の気持ちを口にしてきた。リハビリに付き合ってくれた球団スタッフ。応援してくれたファン。支えてくれた家族や仲間。期待の若虎は恩返しの思いを胸に、CSの舞台に立つ。

(デイリースポーツ・西岡 誠)

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