パ・リーグ新人王争いの行方は…

 9月に入りプロ野球もシーズン大詰めを迎えた。タイトルの行方にも注目が集まるが、その中で、パ・リーグの新人王レースは拮抗している。

 昨季は楽天・則本が15勝(8敗)を挙げ、ぶっちぎりでの獲得だったが、現在、ロッテ・石川歩投手(26)=東京ガス=を筆頭に、3人の先発投手が7勝で並び、横一線の状況となっている。

 石川は1日現在ですでに、シーズンの規定投球回数に達しており、リーグ9位の防御率3・58をマーク。昨秋ドラフトでは、当日まで巨人が石川の一本釣りを“画策”していたものの、ロッテが“略奪”する形で、競合の末に見事引き当てたドラ1だ。

 シーズン当初は開幕4番を務めたアジャ・コングこと井上、即戦力捕手の吉田、中継ぎ右腕の吉原と新人カルテットがそろって1軍切符をゲット。しかし故障や不調もあり、結果、シーズン通して定着したのは石川だけだった。

 交流戦で“因縁”の巨人を相手に快投を演じるなど、前半戦だけで6勝をマーク。エース成瀬、涌井、唐川と3本柱が不振に陥り2軍落ちも経験した苦しい台所事情の中で、ローテを支えた。事実上の先発の軸。即戦力の名に恥じない活躍だった。

 とはいえ、新人の顔ものぞかせた。後半戦に入り、勝ち星が伸びない。8月5日の楽天戦で7勝目を挙げたが、その試合中での右手中指の爪裂傷で、翌6日に登録抹消され、戦列を離れた。復帰登板となった29日の日本ハム戦では、6敗目を喫している。

 石川が足踏みする中、新人王レースに猛追してきたのが、ドラフト2位・日本ハム・浦野=セガサミー=だ。前半戦終了時では3勝も、後半戦に入って白星を量産。29日のロッテ‐日本ハム戦では、石川との投げ合いを制し、7勝に並んだ。

 さらに、新人王資格を持つ高卒3年目の日本ハム・上沢も、今季ブレークし、現在7勝。2人とも、規定投球回数には達していないが、今後の成績次第で浮上してくるだろう。

 また“伏兵”として有力候補に挙がるのが、西武・高橋だ。プロ2年目だが、ルーキーイヤーの昨季は投球回数が18回2/3にとどまり、今季も有資格者(前年出場30回以内)。1日現在で53試合、24セーブ、防御率1・71と、有力候補に名乗りを挙げる。

 さて、石川は新人王について、「チームの成績が最優先。自然とついてくればいい」と冷静に話すが、一生に1度の勲章に、無関心ではないはずだ。残り24試合。石川が2桁勝利を挙げれば、当確圏内。そしてチームも逆転CS進出に望みを見出すこともできる。

 ロッテからの新人王輩出となれば、一昨年の益田以来2年ぶりとなり、先発投手としては05年の久保(現DeNA)以来9年ぶりのこととなる。今季、苦しい戦いを強いられたチームにとっても、明るい話題となることは間違いない。

(デイリースポーツ・福岡香奈)

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