例年以上に熱い皐月賞戦線制するのは?

 3月に入り、春競馬がいよいよ本格化してきた。9日に本番と同じ中山競馬場の2000mで争われた皐月賞トライアルの弥生賞は、まれに見る大接戦となった。

 直線、早めに抜け出した1番人気のトゥザワールドを、外からワンアンドオンリーが追い詰めた。ゴールでの差は、わずか4センチ。トゥザワールドが4連勝で本番行きを決めたが、負けて強しの印象は2着のワンアンドオンリー。「この2頭、どっちが強い?」と早くも悩みはじめているが、今年はこの2頭以外にも有力馬が顔をそろえているから、面白い。

 3歳世代のみで争われるクラシックレースは各世代の強力馬が集う古馬戦線とは違い、その年によって、趣がガラっと変わる。1頭がずば抜けて強い世代。3冠馬ディープインパクトが出現した05年などは、いかにしてディープが勝つかに注目が集まり、馬券的妙味という点では「?」がついたもの。その点、今年は多士済々の顔ぶれで、レベルも高そう。競馬ファンのテンションが上がっているのも無理はない。

 ここまで5戦4勝のイスラボニータ。唯一の敗戦となった昨夏の新潟2歳Sでは、桜花賞で本命候補のハープスターに完敗したが、それ以外は危なげのない勝ちっぷりを見せつけている。

 前走の共同通信杯でも好位の3、4番手をキープし、直線ではさらにひと伸びするなど、ひと冬越しての成長も確か。中山を経験していないことに不安はあるが、競馬っぷりを見ると小回りコースも大丈夫か。

 2012年のセリで、2億5000万円の高値で取引されたトーセンスターダムは、デビューから負けなしの3連勝。鞍上も武豊で、スター性でいえば、今年の3歳世代でも抜けた存在だ。いずれも着差はわずかだが、前走のきさらぎ賞でもライバルのバンドワゴンをゴール前できっちりとらえたように、勝負強さがウリ。混戦が予想される今年のレースでは、この馬の能力が最大限発揮されるような気がしている。

 そして、レースをより盛り上げてくれそうなのが、前出の逃げ馬バンドワゴンだ。デビューから2戦は、気性の若さをのぞかせながら、いずれも大差の逃げ切り勝ち。無敗対決となった前走こそ、トーセンスターダムの強襲に遭ったが、この馬自身、まだまだ能力を出し切っているとは言えず、上積みという点でいえば、この馬が一番か。けれんみのない大逃げを打てれば、スタンドが大歓声に包まれることは間違いない。

 残る皐月賞トライアルはスプリングS(23日・中山)と若葉S(22日・阪神)。2歳王者のアジアエクスプレスや、調整がやや遅れている地方馬のプレイアンドリアルも本番に参戦してくれば、ファンの夢はさらに広がる。

 何が1番人気になるのかさえ予想することが難しいが、現時点での本命馬はイスラボニータで、対抗はバンドワゴン。魅力的なワンアンドオンリーは、ダービーで期待する。例年以上に熱い皐月賞戦線。恐らく同じメンバーで10回走ったとして、10回とも違う結果が出るメンバー構成だけに、枠順も含め直前まで、あれこれ悩んでみたい。

(デイリースポーツ・玉森正人)

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