優勝1000万円大会に感謝の気持ちを

 人気低迷が危惧されている男子ゴルフツアーだが、このほど同ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、7月に新たに1試合を追加開催することを発表した。

 福島県で開催される「ダンロップ・スリクソン福島オープン」(7月31~8月3日、グランディ那須白河GC)で、東北地方でツアーが行われるのは07年まで開催されていたJCBクラシック(宮城県)以来7年ぶり。東日本大震災で大きな被害を受けた地に、プロゴルフツアーが戻ってきたことは喜ばしいニュースである。

 これまでツアー競技外として開催されてきた「福島オープン」が今年20回目の節目を迎え、ダンロップスポーツ、JGTOなどがサポートする形でツアー競技に昇格した。

 賞金総額は5000万円。優勝賞金はその20%の1000万円となる。今季、国内ツアーの最も高い優勝賞金は4000万円(日本オープンなど)。関西オープンの優勝1200万円を下回り、今季ツアーでは最も賞金の低い大会となる。

 以前は、このような賞金の低い大会には一部のトップ選手が出場を見送るケースが見受けられた。故障などで本当に出られない選手もいただろうから一概には言い切れないが、多くは賞金の少なさがパスする理由だ。

 トップ選手にしてみれば、1、2試合出なくても他の試合でしっかり稼げるので、わざわざ安い賞金の試合に出る必要もないということなのだろうが、試合を主催するスポンサー、観戦を楽しみしているギャラリーからすれば、なんとも残念な話ではある。

 賞金総額5000万円といっても、実際に1大会の開催には、その2~3倍の経費がかかる。試合数の減少傾向が続く中、1億円以上のお金を出して試合を開催してくれることに選手は改めて感謝の気持ちを持ち、プレーだけでなく、スポンサーやファンへのサービスにも努め、より大会を盛り上げる努力をしてもらいたい。

 今季、優勝賞金2000万円未満の大会は、今回の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」と「関西オープン」の2試合。スター選手の不在などで試合数が増えない中、JGTOとしては今後、このような企業が参入しやすい賞金額を抑えた大会を増やしていく努力は急務だろう。

 主催者のダンロップスポーツも開催目的の一つに「総事業費用のスリム化を図り、今後同様のトーナメントが各地で開催されるためのモデルケースを作る」としている。男子ツアー低迷の打開策となりうるか。「ダンロップ・スリクソン福島オープン」の成否に注目したい。

(デイリースポーツ・工藤直樹)

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