複合・渡部暁「銀」個人20年ぶりメダル
2014年2月13日
前半飛躍でトップに立ったフレンツェルと6秒差で2位につけると「協力して逃げようと話した」。その言葉通り、スタート直後から3位以下の集団を寄せ付けない“2人旅”。ラスト1周では残り1・5キロ付近の上り坂で「ここしかチャンスはない」とロングスパート。最後は抜き返されたが「最終周回のストレートまで(メダル確定は)分からなかった」と振り返るほど前だけを見ていた。
師の金言が生きた。所属先の部長は「キング・オブ・スキー」と呼ばれた荻原健司氏。指導を受ける中で「格言めいたものはあまり言われた記憶はない」という。だが、ある時の言葉が頭に残っている。「暁斗、トイレは真ん中に立って済ませろよ」。当時は頭の中に疑問符が湧いたが、今では分かる。「スキー以外の日常でも表彰台の真ん中を意識しろってことだと思う」
3度目の五輪でつかんだメダル。年明けにはインフルエンザにかかるアクシデントもあったが、今では「(結果として)いい休みになった」と言える。かねて「五輪よりもW杯の年間総合王者の方が強さの証明になる」という持論を持つ25歳は、「メダルを獲ったことで、ようやく翼が広げられた。メダルも獲れずに言ったら負け犬の遠ぼえですからね」と笑った。
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