吉田沙保里、悔し涙が止まらない 霊長類最強女子まさか4連覇ならず…引退も?

涙を流しながら銀メダルをみせる吉田沙保里(左はマルーリス)=リオデジャネイロ(撮影・棚橋慶太)
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 「リオ五輪・レスリング女子フリースタイル53キロ級・決勝」(18日、カリオカアリーナ)

 女子の3階級が行われ、53キロ級決勝で吉田沙保里(33)=フリー=は昨年の世界選手権55キロ級優勝のヘレン・マルーリス(米国)に判定で敗れ、4連覇を逃した。個人戦では01年の山本聖子に敗れて以降、続いていた連勝記録が「206」でストップ。13連覇中の世界選手権と五輪と合わせた連続世界一の記録も「16」で止まり、「最後の最後に負けてしまって悔しい」と号泣した。進退については明言を避けたが、このままマットから退く可能性も出てきた。

 最後は、父にたたき込まれたタックルで勝負をかけた。しかし、無情にも試合終了のブザーが鳴る。四つんばいの姿勢で突っ伏したままの吉田が、マット上でむせび泣いた。

 「いろんな人に金メダルを獲って見せると約束してたのに、それがかなわず申し訳ない」

 ついに“霊長類最強”の看板を下ろすときが来てしまった。集大成と位置づけたリオで五輪4連覇を逃し、個人戦での連勝も「206」で途絶えた。「30年間レスリングをやってきて、最後の最後に負けてしまって悔しい。たくさんの方に応援してもらったのに…」。試合後も30分近く涙が止まらなかった。

 12年ロンドン以降はけがの連続で、さらに昨年からはぜんそくにも悩まされた。昨年末には05年から所属していたALSOKを退社。活躍の場を広げるべくフリーとなり、息抜きとしてタレント活動にも力を入れた。14年3月には父・栄勝さんが61歳で亡くなり、天国に金メダルをささげることを誓っていた。

 だが、4年に1度の戦場は想像以上に厳しかった。最強女王もレスリング選手としては高齢の33歳になり、「追いかけられる恐怖はあった」と打ち明ける。年明けからは試合に出場せず調整。国際試合に出ないことで、海外の関係者の間では「チキン(弱虫)」と呼ばれた。世界が自身の首を狙ってくる中で、実戦感覚が鈍ったのは致命的だった。

 去就については「まだ考えられない」と明言は避けたものの、栄和人チームリーダーは「最後に金メダルを獲ったら引退するというような話もしてた」と舞台裏を明かした。

 自身の連覇は途切れたが、まいた種は着実に芽吹いた。吉田の背中を追ってきた母校・至学館大の後輩たちが、今大会6階級中4階級で金メダルを獲得。栄チームリーダーは「連覇への期待や日本選手団の主将の役割もすべて踏まえたら、金メダル以上の貢献じゃないかな」と偉大な教え子をたたえた。

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