井岡に黒星付けたアムナトがKO陥落

 「ボクシング・IBF世界フライ級タイトルマッチ」(25日、北京)

 IBF世界フライ級タイトルマッチが25日(日本時間同日深夜)、中国・北京国家体育場・ダイヤモンドコートで開催され、王者のアムナト・ルエンロン(36)=タイ=が、挑戦者で同級1位のジョンリエル・カシメロ(26)=フィリピン=に4回2分10秒KOで敗れ、6度目の防衛に失敗した。WBO世界暫定ライトフライ級、IBF世界ライトフライ級の王座を獲得したことのあるカシメロは2階級制覇を達成した。

 2014年5月に大阪で現WBA世界同級王者の井岡一翔(井岡)を判定で退け、15年3月にはマカオで中国の英雄である五輪2連覇の鄒市明(中国)からもプロ初黒星を付けたタイの技巧派王者が北京で壮絶に散った。

 この試合は北京で開催されたIBFの年次総会における目玉イベントとして位置付けられ、元統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソン氏を招待するなどして挙行された。ところが試合前日に万里の長城で行われた公開計量で、王者と挑戦者がともに規定体重を超過するという前代未聞のハプニングが起こる。試合の成立が危ぶまれたが、数時間後にIBFが、計量は地面が水平に保たれておらずアトラクションで、ホテルで公式に行ったところ両者ともリミットでクリアしたとアナウンス。タイトル戦として行われることになった。

 両者は昨年6月にタイ・バンコクで対戦し、アムナトが3-0で防衛に成功。しかしアムナトの反則乱発のファイトスタイルとレフェリングが問題視され、再戦指令が出ていた。

 試合では序盤、アムナトが左ジャブを当ててペースをつかみつつあったが、4回に衝撃的場面を迎える。リング中央で右ストレートから左ストレートにつなぐ逆ワンツーを放った王者に、カシメロの左フックのカウンターが直撃。顔面から前のめりにダウンしたアムナトは何とか立ち上がるが、ダメージは大きく、カシメロの猛攻からの左ボディーでもん絶した。

 14年1月から保持してきた王座を手放したアムナトの通算戦績は18戦17勝(5KO)1敗。新王者のカシメロは25戦22勝(14KO)3敗。試合後、カシメロ陣営は軽量級最強と目されるWBC世界同級王者のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との統一戦を行いたいとの意向を示した。

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