どん底味わった大森が魔の左でKO勝利

 「ボクシング・バンタム級8回戦」(16日、島津アリーナ京都)

 元WBO世界バンタム級1位で日本バンタム級2位の大森将平(23)=ウォズ=がインドネシア国内同級王者のエスピノス・サブを4回2分31秒KOで下し、再起戦を飾った。

 「ドゴーン」と自慢の左から繰り出された豪打が左ボディーに刺さった。相手はもん絶し、倒れ込んだ。立ち上がったが戦意喪失で10カウント。4カ月ぶり、大森が復活した瞬間だった。

 昨年12月、勝てば世界初挑戦権を得るWBO世界同級指名挑戦者決定戦でマーロン・タパレス(フィリピン)に2回1分35秒TKO負け。プロ16戦目にして喫したまさかのプロ初黒星だった。

 この日の序盤、前戦を意識するあまり動きはガチガチ。相手はタパレスを思わせる小柄なファイターで、「慎重になった。意識して体が自然とそうなった」と脳裏に悪夢はこびりついていた。

 「判定でもいいと思った」と、この日は「ジャブで試合を作ることだけ」を考えていた。丁寧に右ジャブを突き、距離を支配。3回に入ると本来の動きも戻って来た。左を顔面に合わせ、何度ものけぞらすと4回、一気に試合を決めて見せた。

 「50点くらい。まだ防御が甘い。すきのあるボクシング。上のレベルに行けばやられる」と自己採点は辛め。

 それでもWBCバンタム級王者・山中慎介(帝拳)を参考にした軸足を後ろに乗せる打ち方には上々の手応え。「180度スタイルは違う。日本王座になった時から強引になったけど、これが本来の姿」と攻防一体のスタイルを取り戻した。

 “神の左”こと山中は南京都高(現京都広学館)の先輩で“山中2世”の評価を受けてきた。自ら命名した強打の“魔の左”でKOを量産したが、自信はもろくも打ち砕かれた。

 1月には知人女性をひじで突いたとして、西京署が暴行の疑いで逮捕。事件性はなく、すぐに釈放されたものの、敗戦に続き大きなショックを受けた。

 さらに2月13日には、祖父・国和さんが82歳で死去。「何としても勝利を捧げたかった」と天国に弔い星を送り、再起を報告した。

 京都のジムで初の世界王者は遠回りとなった。それでも「世界のレベルが見えた。生かすのか生かさないのかは今後を見ていただければ。焦りはない」と言い切った。

 大森昌治会長は6月、8月に世界ランカーと立て続けに連戦を組む計画を明かし、年末にも世界再挑戦を視野に入れる。どん底を味わった23歳が、再び世界ロードを歩み出した。

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