王者・野中悠樹が井岡弘樹ジムへ移籍

 「ボクシング・日本スーパーウエルター級タイトルマッチ12回戦」(12月27日、大阪・阿倍野区民センター)

 日本スーパーウエルター級王者・野中悠樹(37)が25日、渥美ジムから井岡弘樹ジムへの移籍を発表した。移籍初戦は12月27日、同級3位の斉藤幸伸丸(36)=輪島功一スポーツ=を相手に3度目の防衛戦を行う。昨年9月に世界フライ級王者・井岡一翔(26)=井岡=と対戦し、その後、一翔のスパーリング相手を務めてきたパブロ・カリージョ(27)=コロンビア=も同ジムに移籍することになり、両選手はこの日、大阪市内で会見した。

 路頭に迷っていた日本王者が井岡弘樹会長に救われた。野中は4月、細川貴之(30)=六島=を相手にドロー防衛。試合後のリングで再戦を約束したことが、渥美ジムとの確執につながった。

 野中は5月に盲腸の手術を行い、入院。8月に試合を組んでいたジム側に延期を頼んだが認められなかった。

 双方に“言い分”はある。盲腸を患う前から再戦に難色を示し、相談もなく手術を受けたことにジム側は怒り心頭。野中は「やらないとは言っていない。8月に体を仕上げてリングに上がるのは難しい。お客さんにも失礼」と譲らなかった。

 「その前からいろいろあったんです」と野中。信頼関係は損なわれ、ジムと決別。退院後は尼崎の公園でテニスコートの明かりを頼りに練習した。

 尼崎ジムから移籍した仲里・渥美ジムが分裂し渥美ジムへ。今回が3度目。ボクシング界にとって移籍はどうしてもマイナスイメージがつきまとう。

 「そのつど、骨をうずめるつもりなんですが、衝突というか、プライドもありますので。結構、長いものに巻かれているつもりなのですが…」。

 本人に悪気はないようだが、結果的に“ケンカ別れ”。受け入れ先は見つからず、ベルト剥奪危機に陥る中、手を差し伸べたのが、西日本ボクシング協会会長も務める井岡弘樹会長だった。

 公園で練習していることを聞くと「それじゃ、ダメだろ」と8月から自身のジムを練習場所に提供。仲裁役を買って出て、渥美ジムの大東旭会長代行を説得した。会見では「裁判になりましたよ、第一審は…、ウソですよ。円満です」とジョークを飛ばし、野中をヒヤリとさせた。

 「野中君は37歳でまだ上を目指している。心拍数も1分間に183回とすごい数値」と同ジム初の王者に期待。野中は「防衛戦まで組んでいただいて、勝って恩返ししたい。文句のない勝ち方で年末を飾りたい」と、会長に頭を下げた。“井岡裁き”で丸く収まり、夢の世界挑戦へ再出発を切った。

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