エリートヤンキー田中が衝撃デビュー

 「ボクシング・バンタム級6回戦」(7日、IMPホール)

 “エリートヤンキー”田中一樹(21)=グリーンツダ=が3度ダウンを奪い。1回1分39秒KO勝利で衝撃デビューを飾った。プロ12勝(3KO)5敗のスントーンペット・コーラットスポーツスクール(タイ)を相手に開始早々、左アッパーをアゴにさく裂させ、吹っ飛ばした。

 続けざまにまたも左アッパーをアゴにたたき込み2度目のダウンを奪うと、最後は右フックをアゴに打ち込み仕留めた。「ジャブで様子を見ようと思ったけど、(ガードの)中に入ってアゴに打ったらまともに当たった。全部、アゴ。でも何のパンチが当たったのか興奮して覚えていない」と試合後はまくしたてた。

 元2階級王者・井岡一翔(25)=井岡=らを輩出した名門・興国高と強豪・龍谷大でともに主将を務めた。高校3年時に国体3位、大学は19勝1敗の好成績を挙げ、9月28日のB級プロテストに合格しプロ転向した。

 大阪・寝屋川出身。高校3年時、地元の“ワル軍団”とコンビニでたむろしていたところ、同ジム・本石昌也会長にスカウトされた逸話を持つ。

 深夜1時過ぎ、車で乗り付けた会長は髪をそり込み、腕に入れ墨のある7~8人のヤンキーを見付けた。「いかにもってやつらが入り口付近にいて、邪魔だった」と文句を言いに近づいたその中に1人、「明らかにただ者じゃない、違うオーラを持ったやつ」がいた。17歳の田中だった。

 「お前、何してんねん?」「ボクシングやってます。興国で主将です」「お前、すごいやないか。うちでプロにならんか」。ひと目で見抜いた田中のスター性は確かだった。

 この日、デビュー戦は異様な盛り上がりだった。地元から350人の大応援団が駆け付け、リング上が埋まるほどの、紙テープが投げ込まれた。リングサイドの関係者を「この子、デビュー戦だろ?」と驚かせた。

 わずか99秒の秒殺劇に「かずき~、かずき~」の大コール。リング上で田中は「仕事が早すぎました~」と、応えた。

 会長は「見てもらったら分かるように、周りをそういう雰囲気にさせるのが一樹。みんなが、一樹の周りに集まり、持ち上げる。スターになります」と半端ない惚れ込みよう。約束通り、勝利ボーナス100万円を贈ることを明言した。

 田中は「100万円?まじですか。でも100万円以上のものをもらいました。お金では代えられない。プロは雰囲気がやばい。最高です。緊張しましたけど、応援があったから落ち着けた」と、大勢の応援に感謝した。

 身長168センチ、ゴリゴリの接近戦を好む右のファイター。次戦は4月、日本選手の強豪を予定している。来年に日本ランカー入りし、16年に日本王者、4年以内に世界獲りというのが、田中に敷かれたレールだ。

 「焦ってはいないし、徐々に階段を上っていけばいい。4年で世界に行けたらいい」。カリスマ王者候補が、ド派手に一歩を踏み出した。

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